第825話 決着の時

「その技術って……一体あの兵器にはどんな技術が用いられているというの?」


岬がこう問いかけると星峰は


「あの兵器に搭載されている技術は妖術を完全に無力化する技術、恐らくは先史遺産が現役だった時代に人族が開発した物よ。

そしてその技術が今そのまま転用されてる」


と答える。

その言葉の最後についていた


「転用……」


という言葉に引っかかりを覚えた空狐が復唱すると星峰は


「ええ、恐らくあの兵器は新規に開発された物ではなく、先史遺産から引き揚げてきた物を修繕したんでしょう。

何しろそのままで十二分に活用出来る技術を搭載しているのだから」


と続ける。


「つまり、あの兵器は妖術を無力化するバリアか何かを全体に纏っているって事?」

「その通りよ、恐らく現在の技術から考えても妖術に対する鉄壁の守りとなるでしょうね」


涙名の問いかけに対しても星峰は冷静にこう返答する。


「その守りを突破してくるとは……貴様一体何をした!!だが、喩え貴様一人が此の守りを突破出来ようとも……」


こう言いながらサルキスは体制を立て直し、星峰に向かって機関銃を討とうとする、だがそこに


「魔王術……滅する閃闇!!」


と言う声と共に天之御が放った闇のレーザーがその機関銃を直撃し、そこを貫いて破壊する。


「な、何……貴様、さっきは……」

「残念だったね、確かにさっきは通じなかったけど、星峰が絡繰りを見抜いているって事がどういう事なのかって所まで予測しなかったのは失態だよ」


機関銃を破壊しつつ、天之御はそう言うと次はその闇を兵器の右足部分、左足部分に向けて続けて放ちその両足を破壊して動きを封じる。


「ええい……これでは……」


サルキスはそう言うと手元のボタンを押し、兵器から脱出してそのまま部屋の奥に走っていく。


「兵器を乗り捨てたって事は逃走するつもりね!!そうはさせない」


岬がそう言うと


「僕は此の兵器を調査場に送る、追跡は頼んだよ」


と告げた天之御を残し、他の面々はサルキスを追跡する。

只一人残った天之御も転移妖術を発動させ、兵器と自身を何処かへと移動させる。

一方、兵器から脱出し、逃走を図ったサルキスは


「ええい……まさかあの技術を突破してくるとは……これは急いで報告を……」


と内心で抱いている感情を持ちつつ、通路を走っていた。

そこに物音が聞こえ、不意に立ち止まって後ろを振り返るがそこには何の姿も影もなかった。


「気のせいか……ええい、奴等にしてやられなければ……」


そうぼやいたサルキスの前に足音と共に誰かが現れる。


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