第824話 崩れる牙城
「その映像は偽物だよ。
あんた達の仕掛けた罠を星峰が見抜いてくれたからね、それを逆手に取らせてもらったって訳さ。
最も、衛星からの映像でも確認すれば直ぐに分かった筈なんだけどね」
「傲慢な奴程最後の確認を怠る、ありがちな話ではあるけどあんたは正にそれに当てはまってたって訳ね。
ま、お蔭でこうして危機に間に合った訳だけど」
天之御と星峰はサルキスに対し余裕を見せた発言をする、だが
「……はははははっ、だが、お前達が駆けつけた所で此の私を止める事は出来ん!!何しろ攻撃が通用しないのだからな」
「ええ……先程から何度か妖術を当てているのですが、どれもあたった瞬間に無効化されて……」
そう高笑いするサルキスに対し、空狐は悔しそうな表情を浮かべる。
いや、実際悔しいのだろう。
怒りか不安か、震えている両手がそれを証明していた。
「成る程、つまりは僕の攻撃も無力化する自信があると?」
「その通りだ!!此の兵器を傷つける事はお前達には出来ない!!」
天之御の発言に対してもサルキスは尚傲慢かつ自信を持った発言を崩さない。
それに対し天之御は
「そうか、だったら試してみる?魔王妖術……蝕みの毒霧!!」
と言って魔王妖術を発動させ、サルキスの乗る兵器の周囲に毒霧を発生させる。
だがサルキスの言う通り、兵器の持つ謎の仕組みは天之御の発動させた魔王妖術すら無効化してしまう。
「天之御様の妖術すらも無効化するというの……」
その光景を見て岬がそう零すと同時に再び一同の顔に不安が募り始める。
だが霧が晴れていく中で空狐は天之御の近くにいた筈の星峰の姿が見当たらない事に気付く。
「おや、あの小娘は……」
サルキスがそう呟くと部屋の上の方から
「此処に居るわよ!!」
という声とともに星峰が何かの体制を取る。
「狐術……蒼色の烈破!!」
そう叫んだ空狐は背面の尻尾に青い光を纏わせ、そこから斬撃を飛ばす。
「馬鹿め、何度やっても……」
サルキスは又しても自信がある口調でその斬撃を無効化しようとするがその斬撃は兵器と接触しても消えず、そのまま兵器に当たって左右の腕と武装を切り落とす。
「な、何っ!?馬鹿な……何故ダメージを……」
あまりに想定外だったのか、これまでの余裕とは打って変わって動揺を見せるサルキス、そんなサルキスに対し星峰は
「あんたがお間抜けにもオペールタウンに残していたデータからその技術の事は掴めたのよ。
だからこそ私達は急いで此処に駆けつけた」
と冷静な口調をサルキスに向ける。
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