第823話 救世主見参

「くっ、あの出力の砲弾を此の距離で撃たれては……」


これまで幾度と無く戦場を潜り抜けてきた一同もこの状況では流石に絶望に沈みそうになる。

そしてそれを証明するかの様に無情にも砲台から黒色の巨大なレーザーが放たれようとした正にその時、一同の目の前に銀色の壁が出現する。


「え……これって……」


その銀の壁を見た空狐が一瞬絶望とは異なる表情を浮かべると同時にレーザーは放たれるがそのレーザーを銀色の壁が阻み、更にその壁はレーザーを押し返してサルキスの乗る兵器に直撃させる。


「な、何っ!?」


これまでの余裕が崩れたのか、サルキスの表情と言動に明らかに動揺が感じられる。

その直後にその場に


「最後の処理に手間取って遅くなっちゃったわね」

「本当に申し訳ないよ」


と言う声と共に星峰と天之御がその場に現れる。


「星峰!!天之御殿下!!」


此の状況下に置いては救世主とも言える二人の登場に一同の表情は一気に明るいものへと変わる。


「何!?貴様らが何故此処に……貴様らはオペールタウンの跡地へと向かった筈だ!!そしてそこには……」

「自爆兵器を大量に仕込んでおいた筈……って言いたいのかしらね?」


星峰に言いたい事を先に言われたが故なのか、サルキスはそれ以上言葉が続かずに黙り込む。


「自爆兵器!?それってつまり……」

「そう、星峰の予測通り奴等はオペールタウンを放棄したって事さ。

そしてこの要塞を新たな拠点として各地に侵攻する、全部星峰が予測した通りだよ。

そして残るオペールタウンには手薄になった様に見せかけて誘い込み、自爆で跡形も無く消し去るつもりだったって事もね」

「ええい!!何もかも見抜いているという顔をしおって!!そもそも一体貴様らはどのようにしてあの爆発から抜け出したというのだ!!」


今回の行動が星峰の予測の上で成り立っている事を説明している所にサルキスは割って入り、明らかに憤慨した口調で話す。

いや、話すと言うよりは罵倒すると言うべきだろうか。

その罵倒に対し星峰は


「あら、そもそもオペールタウンの跡地は爆発なんてしていないわ、今も私達の同士がそこで作業をしているもの」

「ならばこれは何だというのだ!!」


サルキスが憤慨し、部屋中の壁にオペールタウンの跡地が爆発している映像を映し出す。

どうやらこの部屋の壁はモニターとしての機能を備えている様だ。


「確かに……この映像ではオペールタウンの跡地が爆発していますね……」


その映像を見る限りでは確かに総判断せざるを得ない。

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