第818話 先走る八咫?
「やっぱりそう簡単には行かせてくれないか……」
「何を今更……行くぞ!!」
少し呆れたような口調で涙名が呟くと八咫は強気な口調でそう言い切り眼の前の兵器に向かって走っていく。
「あ!!一寸……ねえ!!」
そんな八咫に対し空狐は慌てて止めようとする。
その行動がやはり先程の怒りが完全に割り切れていないように見えたからである。
だが八咫は兵器が攻撃を仕掛けてきたのを確認するとそのまま飛翔して攻撃を逸らし、そのまま
「黒羽の舞風!!」
と言って黒羽を自身を中心に円形に吹き荒れさせ、それに兵器と兵士の大半を巻き込んで吹き飛ばし、そのまま風を消して地面に叩きつける。
その一撃が致命傷となったのか殆どの兵士と兵器がそのまま動かなくなる。
「一撃で兵器と兵士の大半を……初めからこれを狙っていたの?」
「いや……それだけじゃないよ」
「え……」
「見て、兵器と兵士が叩きつけられた先の地面を」
兵士を一瞬で掃討した事に唖然とする岬だが、涙名の指摘する様に地面に目を向けるとそこには更なる衝撃が広がっていた。
激突した兵士と兵器の下に潜んでいた擬態兵器も破壊されていたのである。
「地面にいる擬態兵器が……まさか、此処まで狙っていたの?」
「後、舞い散っていた羽が直撃した壁の擬態兵器も破壊されているね」
「つまり、八咫は初めからこれを狙って……」
そう言い切ると八咫は
「擬態兵器の場所までは流石に読みきれなかったが、まあ兵士と兵器の一層は狙っていたな。
どうだ、これでもまだ俺が冷静さを失っていると思うか?」
と敢えて確認する様な問いかけ方を他の三人にする。
その問いかけに対する他の三人の答えは無言であったが、その首が三人共横に向かっていた事でその返答は証明されていた。
「なら急ぎましょう!!此処でゆったりと時間を潰している時間は無い筈よ」
岬に促されるままに一同はその足を先へと進めていく。
そしてその先には尚も兵士と兵器の迎撃部隊が集まっていた。
「これだけの部隊で護衛しているって事は、この先は正解って事で良いのかな?」
「或いはそう見せかけて……って線も考えられない話ではないが、現状では先に進むしかねえからな!!」
「そうね……こんな所で立ち止まってはいられない!!」
涙名と八咫の発言に続ける形で空狐はそう叫びながら手元に剣を持ち、その剣を振るって斬撃で兵士と兵器を切り裂く。
「星峰みたいに上手くは出来ないけど、此の位は私にも!!」
少し卑下している様にも聞こえる発言だが、その内容とは裏腹に空狐の顔は強気に満ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます