第817話 地獄の沙汰も力次第

「そうね……こういう場所にこそ仕掛けられる物といえば!!」


涙名がそう呟いた次の瞬間、エレベーターホール内の床や壁から多数の機関銃が出現し一同を狙ってくる。


「弧妖術……白銀の魔鏡!!」


空狐がそう言って妖術を発動させ、自分達の周囲に白銀の鏡を出現させるとその鏡に機関銃の弾丸を吸い込み、そのまま撃ってきた壁、床へと跳ね返す。

そうして壁や床に被弾させるものの機関銃が破損した事で今度はそこから擬態兵器が多数出現する。


「やっぱり、仕掛けられていたのね……」

「そうだとするとあのエレベーターも本物かどうか怪しいもんだよ」


擬態兵器が出現した事で一同はエレベーターに対しても警戒心を抱く。

だがその警戒心を確かめる間も無く擬態兵器は一同に迫り、今度は直接戦闘を仕掛けてくる。


「妖格闘術……冥府への先導!!」


岬はそう叫ぶと両手両足の先端に妖術を纏わせ、その先端を兵器に蹴りと拳で打ち込んでいく。

打ち込まれた兵器は忽ち爆散し、その破片すらも残らない。


「その戦い方……格闘術に妖術を混ぜ込んでいるの?」


一連の流れを観た空狐が岬に尋ねる。

すると岬は


「ええ、普段はあまり使わない能力なんだけどね……私は妖力の堆積量が少ないから」

「それを今用いて大丈夫なの?」

「ええ、これでも少しは妖術の訓練もしているもの、この状況で出し惜しみはしていられないからね」


空狐が訪ねている所を見ると、恐らく岬はこれまで此の力を余り使った事が無かったのだろう。

それ故に岬に対する疑問という形でそれが出、岬も心配をかけまいとこう返答する。

その後も岬の活躍により、兵器は次々と雲散霧消していき、残るはエレベーターの身となる。

兵器を一層した一同が近付いて行くがエレベーターから何かが出てきたり、或いはエレベーターが何かに変化するような兆候は見られない。


「どうやら此のエレベーター自体は兵器では無い様ね、流石にこれまで兵器にしたら司令部に辿り着く事も出来ないか……」

「油断しないほうが良い、此のエレベーターの行き先が地獄だって可能性もある」

「分かっているわ、まあ、ここにいる連中をここから先に行かせたらそれ以上の地獄が待っているんでしょうけど!!」


空狐と八咫がこうしたやり取りを交わした後、一同はエレベーターに乗り込む。

するとそのエレベーターは行き先が一箇所しか無いらしく、直ぐに上昇を初めていく。

そしてそのついた先から一歩外に踏み出すとそこには八咫の予測通り地獄とも言うべき数の兵士、兵器が待ち構えていた。

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