第816話 司令部に迫る者

「で、具体的にはどうするつもりなんですか?まさか司令室に殴り込みに行くって訳や、彼等を此処に導く手引きをするという訳では無いでしょう」

「ええ、それは勿論よ。

そんな事をすれば私達が窮地に陥ってしまうもの。

恐らく彼等は遠からず司令室に突入してくるでしょう、そしてそうなった際に私達が此処に来た意味があるの」


モイスはコンスタリオにどうするつもりなのか問いかけるものの、コンスタリオの返答は少なくともモイスには今一つ理解し辛いものであった。

一方のシレットはその真意に気付いているのか


「なら、早速準備を始めましょう」


トコンスタリオに行動するように促し、コンスタリオも

「そうね……それじゃ、行動を開始しましょう」


とそれに同意し、行動を開始し始める。

それを見ていたモイスは若干不満げな表情を浮かべつつもシレットとコンスタリオに同行し、周囲を探索し始める。

コンスタリオの言う行動とは良く分からないまま、モイスも二人に協力し始める。


「私の推測が正しければ、此の通路を奴等が通過しようとしてきた際、ほぼ間違いなくその理由は……」


コンスタリオは内心で何かを考えながら、シレットとモイスを先導していく。

一方、内部に侵入している涙名立魔神族部隊はというと先程交戦した生産プラント前の部屋から移動し、更なる制圧の為に司令部を目指していた。

流石にそれは箚せ無いと判断しているのか、敵の妨害も激しくなってくる。


「くっ……さっきから敵の攻撃が激しいね……それだけ目的の場所に近付いているってことなの……」


新たに魔神族の兵士や兵器が混じってきた事、内部の生産プラントの存在、そうした物が合わさっているのかそうである者を次々と迎撃部隊として差し向けて狂う現状を涙名は高解釈する。


「これだけの数を差し向けてきているとなると、やはり他にも制御室は存在しているということなのか、それともその必要がない程に既に兵士や兵器の数が揃ってしまっているのか……」

「何れにしてもその部屋、或いは司令部に早く向かう必要がありますね。

その為にも、たとえ連戦で消耗したとしても此処で足を止めるわけには行きません」


岬が現状を分析するような発言をするとそれに涙名が言葉を続ける。

その涙名の言葉を合図にして一同は先へと進んでいき、その奥にあるエレベーターホールのような大掛かりな、だが他に何も無い部屋に辿り着く。


「エレベーター……このまま先に進めば良いんでしょうけど……」


だがそれを目にした空狐は明らかに警戒した声を上げる。

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