第815話 彼等の行方
「それにしても、この部屋兵士が倒れているにしてはやけに片付いてるな。
一瞬で勝負を決めたのか?」
少し冷静さを取り戻したのか、部屋を見渡した後で八咫がこう呟く。
部屋の様子を見れば不自然さを感じるのは当然の話ではあった。
それに対し
「いいや、これをやったのは僕達じゃないんだ。
僕達がこの部屋を訪れた時、この部屋の中は既にこうなっていた」
「つまり、誰かが先に部屋の中に入っていたって事?
もしそうだとするなら、そんな事が出来て尚且つする理由があるのは……」
「うん、僕達も彼等だって思ってる。
既に彼等は此の司令部に到着している筈だから考えられない話じゃない」
涙名が返答したのを皮切りに一同は現時点での仮説を立て始める。
「もしそうだとするなら、彼等は既にブントに対して少なくとも疑念を抱いているって事になるけど、それは同時に……」
「うん、彼等自身の身に危険が及ぶっていうことにもなるよ、だから急がないといけない」
一同は感じた嫌な予感を実現させない為にもその場を足早に通り過ぎ、先へと進んでいく。
一方、その一同の言葉の中で度々口にされていた彼等が示す存在、コンスタリオ小隊も又施設内を移動していた。
「俺達は一体何処に向かっているんです?」
「此処から先のエリアよ。
具体的な内部構造は分からないけど私の推測が正しければ此の通路は……」
モイスが自分達が何処に向かっているのかコンスタリオに問いかけるとコンスタリオは此の通路の先に向かっていると告げる。
「此の通路の先に何かあると予測しているんですか?」
「気付かない?既に彼等が此の司令部に突入してきているのに此の通路の先では爆発音も聞こえないし、迎撃に向かう兵士や兵器も見当たらないって事を」
「言われてみれば確かにそうですが……」
コンスタリオの指摘を受け、シレットは兵士や兵器が出て来ない事については納得した表情を浮かべる。
しかし、まだ全てに納得した訳では内容である。
彼女の見せている表情に不満が隠しきれていないのがコンスタリオは勿論、モイス絡みても明らかであったからだ。
「つまり此の通路は……」
コンスタリオがそう続けて何かの説明を始めた後、目の前に扉が出現する。
その勢いのまま扉を開け、その光景を見たモイスが
「これは……」
と少し困惑した声をだす。
「やっぱり……思ったとおりだったわ。
そして此の後に予測される展開は……二人共、仕掛けるわよ」
「何時までも手の上で踊るつもりはないってことですね……」
その光景を見たコンスタリオは何かを革新した声を出し、それに続くシレットの声もそれに同意する。
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