第819話 サルキスとの開拓

だがその直後にも兵士、兵器の増援が到着し、一同はそこに足止めされそうになる。


「暗妖術……幾億の断罪!!」


涙名はそう言うと手を暗く光らせて上に翳し、その手から無数の衝撃波を飛ばして集まってきている迎撃部隊を一掃する。


「次が来る前に出来るだけ距離を稼いでおきたいね」


攻撃が終わった後、そう語る涙名が先陣を切ったのを確認すると一同はその後を追って先へと進んでいく。

そして先に進んでいくとそこには大きな扉が一つあるだけの通路が続いていた。


「他に何も分岐点が無い通路……やはりこれはそういう事なの?」

「そうかもしれないし違うかもしれない、とにかく此処は中に入らない事には始まらない」


空狐と涙名がそう宣言すると一同はその扉を開け、内部へと突入する。

するとそこは、少なくとも見た目は確かに司令室であり、兵士やサルキスの姿も確

認出来る。


「お前は……お前が此処の、いや、今回の作戦の司令官か!?」


八咫がそう問いかけるとそのサルキスらしき人族は


「如何にもその通りだが?私はサルキス、此のオペールタウンの総司令官だ」


と高笑いをしながら告げる。


「オペールタウン!?どうしてタウンの名前をこの要塞で口に出来るの!?貴方達はそもそもそのオペールタウンを捨てたんじゃないの!?」

「私達がタウンを捨てたのではない、此の要塞こそがオペールタウンなのだ。

お前達の一部が向かった先は既に廃棄したタウンの残骸に過ぎん!!」

「つまり……この要塞は初めからタウンを移籍する為に作られてたって事!?」

「フハハハハ、そういう事だ、この要塞は最早戦略拠点となるタウン毎移設している。

勿論そこに住んでいるのは我らの忠実なる兵士だ。

そうしなければ対処に手間取ってしまうからな」

「だとしたら、外の街部分は全て兵士のためだけに作られたっていうの?」

一同はサルキスの発言にそれぞれ思う所の発言を重ね、その後もやり取りは続いていくものの、最後のサルキスの衝撃的な発言に一同は困惑した顔を隠せない。

その困惑した顔を見抜いたのかサルキスは


「此の程度の陽動を見抜けない連中等、私達の敵では無い」

「その敵ではないと告げている集団が此処まで来られたのはどういう事?」


挑発的な言動を繰り返すサルキスに対し、一同も黙っていること無く反論していこうとするが、サルキスの表情からそれが時間稼ぎの策略ではないのは容易に察知する事が出来た。


「さて、場合によっては他のエリアの兵士に応援するという場所もあるみたいだね、此処ではしていないがな」

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