第801話 忌むべき再会
「これ程の施設でありながら敵の指揮官らしき存在と顔を合わせない……あの要塞は此処を放棄する程の価値がある代物だというの?」
その状況は星峰の脳裏に不穏な予感を過ぎらせる、それが的中するのか否か……
そうした不安を内心に抱えつつも一同は先へと進んでいく。
一方、その要塞に侵入した空狐と涙名は途中で幾度となく迎撃部隊らしき兵士、兵器と交戦し足止めを食らい、中々先に進むことが出来ない。
「くっ、これだけの兵士を内部に抱えているなんて……やはりこの要塞はブントの集大成だとでも言うの……」
「そうかもしれないね……だけど、だったら尚の事此処で立ち止まる訳には行かないよ!!」
焦燥感と疲労感を隠せない空狐と涙名だが、それでも足を止める事は無い。
此処で足を止めてしまったら大きな厄災が起こる、そんな予感を感じずにはいられなかったのだ。
そして侵攻していくと又しても人族部隊が立ち塞がる、その奥には指揮官らしき存在も確認出来た。
「また人族部隊がいるわね……」
「しかも今回は簡単には突破出来そうに無いよ、見て、あの奥にいる奴」
空狐が人族部隊を確認すると涙名は奥にいる指揮官らしき存在へとその視線を向ける様に告げる。
その指揮官を視線に入れた空狐は
「!!あの指揮官って……」
その指揮官の姿は以前東大陸の地下で襲撃してきた部隊を率いていた人族の女と同じ姿をしていた。
「攻撃を開始……此処より先に通すな」
その女の指揮の元、人族部隊は攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃は激しく、空狐と涙名の動きを的確に読んでいるのか先回りするかの如くの連携を取ってくる。
「くっ、あの女も人造生命だって言うの?あの時と全く同じ姿の女が此処にいるなんて……」
全く同じ姿という点で困惑を隠せない声を空狐が上げる。
「だとしたらあの女も又、悲しい生命だってことになるね。
それに抗う自由すら無いというのであれば!!」
涙名はそう告げると爪を立て
「暗殺妖術……一閃の筵!!」
といい、目の前に出現させた魔法陣にその突き立てた爪を差し込み、指揮官の女の足元にも出現させた魔法陣から爪を巨大化させて突き刺し、その女を仕留める。
それによって統率が崩れたのか人族部隊の迎撃は一気に鈍くなり攻撃に乱れが生じ始める。
その隙をついて空狐が
「狐妖術……赤色の吹雪!!」
と言って赤い花弁のようなものをその名の通り吹雪の様に飛ばし、残っていた兵士を一気に全滅させる。
「今の女が居たという事はつまり、あの時から既に人造生命は生み出されていた……」
敵を退けはしたものの、その事実は重くのしかかる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます