第798話 強まる疑念、深まる疑念

「え?何がですか……」


星峰に呼び止められた事に困惑する人族部隊、どうやら彼等には気付かず、星峰は気付いた何かがあるようだ。


「あれを見て……」


星峰はそう言うと目の前の通路を指差す、だが一見するとその通路は他の通路と変わらなかった。

しかしその直後、その通路は軟化し兵器の姿をして一同を攻撃してくる。


「!!通路から兵器が!?いや、通路が兵器に!?」


突然の出来事に困惑したのか、人族の言葉にも乱れが生じる。

その鋤をついた兵器の攻撃が来そうになるが走破させないと言わんばかりに天之御が接近し、兵器の中心部分に蹴りを打ち込んで穴を開け、破壊する。


「一体今の兵器はどういう……」

「恐らくは通路に擬態していたのでしょうね、それも今の変形の仕方は先史遺産の擬態兵器には見られなかった。

ブントが独自に発展させた可能性が高いわ」

「全く……こんな物がばらまかれたらあらゆる街が戦場、要塞となってしまうよ。

それを防止する為にも今回の戦い、負ける訳には行かない!!」


人族部隊の発言に続けて星峰と天之御が独自の解釈を続ける。

その言葉を聞き、人族部隊も気が引き締まったのかその顔が一段と引き締まっていく。


「それにしても、天之御の格闘術って初めてみたわね、武器や妖術だけでは無いということなのかしら?」

「まあ、これでも魔王の肩書を持っているからね、あらゆる事に精通しておかないと」


ここで唐突に星峰が先程の天之御を見た感想を軽口で話し、天之御もそれに軽く返答する。

突然こうした会話を初めた二人に人族は少々困惑した表情を浮かべるが、すぐに


「さあ、行きましょう!!」


という天之御の声を聞いて表情を元に戻す。

そして察する、今の発言は神経が高ぶっている自分達の神経を鎮める為に言ってくれたのだと。

最も、星峰が天之御の格闘術を初めてみたというのも又事実ではあるのだが。

そして一同は先に進んでいくが、先ほどと同じ擬態兵器があちこちに潜んでおり思う様に進む事が出来ない。


「くっ……一体どれだけの擬態兵器が配備されているというのですか……」


少し苛立った様子を見せる人族部隊だが、対象的に星峰は


「それだけここが重要な場所である、あるいはあったということなのかもしれないわね」


と涼し気な表情を見せていた。

そしてそれは天之御も同様である、彼等の中ではこれは寧ろこの施設が重要な施設であり、ここを調べる重要性が高まっているという確信は兵器が現れる程に強まっていった。

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