第788話 兵士の気迫

そしてそれを証明するかのように協力者側の人族部隊はブント側の人族部隊に向かっていき、先程までと同様に体術、武術、銃撃、魔術戦を繰り広げる。

その戦況は圧倒的に協力者側の人族部隊に傾いており、ほぼワンサイドゲームの域に達していた。

単に兵士の質が高いというだけではない、それ以上の何かを感じさせる戦いであった。


「彼等の気合……本当に凄い……私が今まで見てきた人族部隊の兵士の中でもコンスタリオ小隊と位しか今の彼等の気合に匹敵する物を持っているのは居なかったわ」


兵士の勇猛な戦い振りを見て星峰はふとこう呟く。

無意識の内にコンスタリオ小隊の事を中に入れる辺りは情が入っているともいえるが、その点を差し引いて考えても兵士の勇猛さは圧倒的であった。

星峰がスター・ボレードとして接していた人族部隊兵士は全てブントだったのではないか、そう思わせる程に彼等の気合は他の兵士と違っていた。

星峰がそう呟いている間にも兵士の進撃は止まらず、瞬く間にブント側の兵士を総崩れにする。


「そこまでの感想を抱いているのなら、彼等に負けてはいられないね!!僕達も急ごう」


天之御がそう告げると星峰は


「え……嘘?口に出してた……」


と少し困惑した表情を浮かべる。

どうやら先ほどの呟きは内心で思っているだけだと本人は認識していた様だ。


「何言ってるの?思いっきり口に出していたよ。

それだけ彼等に感銘を受けたって事でしょ」


天之御に指摘され、星峰は紅潮し始める。

どうやら相当恥ずかしいと感じているようだ、だが聞かれたのが天之御だからという安心感も同時に内心の何処かで抱いていた。

天之御に対しても又、そこまでの信頼を築き上げてきたという事なのだろう。

そう思うと星峰は天之御と顔を合わせ、兵士達の元へと駆け寄ってそのまま施設の中へと入っていく。

その施設の中は不気味な程の静けさに満ちており、自分達が入ってきたのに気付いていないのかと星峰や天之御に思わせる程であった。

当然、そうした空気は彼等に警戒心を抱かせ


「皆さん、ここはブントの施設であり、何が潜んでいるか分かりません。

くれぐれもお気を付け下さい」


と天之御に忠告の言葉を言わせる。

その言葉に人族部隊の兵士が頷いた直後、それを証明するかの様に前方から小型兵器が現れる、しかも今まで見た事のない兵器だ。


「ここにきて新型兵器……?随分遅い登場だけど、これが切り札って事なのかしら?」


星峰が疑問を持った次の瞬間、兵器はいきなり前面を機関銃に変えて乱射してくる。

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