第787話 切り捨てられる首都

そしてその先にある場所に到達するとそこには巨大な穴が開いており、その奥には何かの施設らしき建造物が確認出来た。


「この穴……やはりあの要塞はここで建造さとれていたのね……」

「となると、星峰の予想通り奴等はここを捨てるつもりだったって事か!!」


そう、彼等が交戦していたのはオペールタウンであった。

いや、正確に言えばオペールタウンとして地図上で記録されていた場所と言った方が適切なのかもしれない。

そこに空いている巨大な穴は周囲の地面が盛り上がっており、それが上から掘られた穴ではなく下から力が加わった穴である事を意味していた。


「つまり……お二方の予想通りブントはこの街を元から要塞として利用する為に建造したと言う事ですか……」

「ええ、しかもご丁寧に最初から最後まで活用してね……」


人族部隊の兵士が唖然とした表情で穴を見ていると星峰の声と共に前方の施設から兵器や兵士が次々と出現する。


「先程まで交戦してきた兵士や兵器はあの施設で生み出されていたって訳ですか!!」

「恐らくはここをまだプラントとしては利用するつもりなのか、それとも要塞を再びここに戻しておくつもりなのか……どちらにしても放置しておくわけにはいかない」


兵士と天之御がそう告げるより早く動いたのは星峰であった。


「孤妖術……赤色の円倫!!」


そう叫ぶと星峰は妖術で赤い輪を作り出し、その輪から同じく赤い色の強烈な光を放ちそれを施設前の人族部隊に当てる。

するとその兵士達は見る見る内にその体を溶解させ、その場へと兵器と共に崩れ落ちていく。

その光景は一見すると凄惨とも取れるが、今の星峰達にそれを考えている時間等存在していなかった。


「さあ、急ぎましょう!!これ以上ここで此奴らに好き勝手をさせる訳にはいかないわ」

「言われるまでもありません。

そもそも我々はここで此奴らを全滅させなければどの道終わりなのですから!!」


星峰の鼓舞に人族部隊兵士はこう答え、その力を結束させていく。

だがそこに


「君達は何故、そこまで協力してくれるの?魔神族との共闘と人族とのこれまでの関係維持、自分達の安泰を目論むならどうするべきかは明白なのに……」


と涙名が不安そうな声で質問する。決して彼等を信頼していない訳では無い。

寧ろ信頼しているからこそ心配になってくるのだろう。


「ええ、明白でしたよ。こうして貴方方と共に戦う事を選べば良かったのですから!!それにあの踏み絵、あんな事をして我々を試そうなど同じ人族としても許せません」


人族部隊の構成員は全員一致でこう口にする。

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