第760話 後方の疑念
「爆発音に反応して回り込んでみたら魔神族はおらず、そのままグルっと一周した……どうやらまんまと乗せられたようね」
「ええ……最も、それは此方も計算の内でしたが」
コンスタリオとシレットがそう話す、この会話からコンスタリオ小隊は涙名達の意図を予測し、その上で爆発音に従って行動した事が読み取れる。
「そして一周してきたら丁度問題の兵器の後ろ側にいる人族部隊とご対面って訳か……」
モイスがやや皮肉った言い方でそう告げる。
背面にいた人族部隊はコンスタリオ小隊を見て敵意こそ見せていないものの、歓迎しているという雰囲気でもない、お互いに警戒している、そんな言葉がぴったりの状況であった。
「コンスタリオ小隊の皆さん……ここで一体何をなさっているのです?」
部隊の指揮官らしき兵士がそう尋ねてくる。
「魔神族の迎撃に協力していたのだけど、まんまと連中の手に乗せられて部隊と引き離され、気が付いたらここに来ていたのよ」
兵士からの問いかけに対し、コンスタリオはこう返答する、その返答自体は虚言ではない、只、それをコンスタリオ小隊自身も承知した上の行動であるという事は当然兵士達は知る由もなかった。
「そうですか……それであれば良いのですが」
兵士はそう返答するものの、その言葉の音程にはどこか納得していないといった雰囲気が漂う。
コンスタリオ小隊に対し何らかの不信感を抱いているのだろうか。
それを察知したのかコンスタリオは
「貴方方は……私達に何を抱いているのです?」
とダイレクトに問いかける、その問いに対し
「いいえ、別に何か疑っている訳では……」
と兵士は返答を濁すものの、その言い淀み方からそれが虚言である事は明白であった。
「そう……ならいいのだけど」
コンスタリオはそれが虚言であると見抜きつつも敢えてその場でそれに触れたりはせず、共闘する姿勢を見せる。
そうした方が現状ではプラスであると判断した為だ。
「それで、此方の状況はどうなっているの?」
今度はコンスタリオがそう尋ねる。
すると兵士は
「我等の兵器が守って頂いているお陰で此方は万全の守りを敷く事が出来ています。
お陰で戦力を温存出来、万が一の事態に備えられていますよ」
先程の疑った声とは打って変わって強気な口調でそう語る。
だが後ろの戦力に対しコンスタリオは
「あの兵器があるのであれば何故、背後にこれだけの戦力を用意する必要があるの?何か事情があるとしか……」
と疑念を抱くのであった。
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