第759話 虚勢の行方

「大型兵器……まあ、それで驚きはしないけどね」


多数の大型兵器を見ても全く動じない空孤に兵士は


「随分余裕みてえだな!!だが……」


と威勢のいい言葉を放とうとするがその直後に左右の森の中から爆発音が鳴り響く。


「何っ!?何だ今のは!!」


兵士が困惑した声を挙げると背後から追跡してきたコンスタリオ小隊は


「爆発!?と言う事はまだ敵が……私達はそっちの対処にあたるわよ!!」


と告げ、左右に展開していく。

それを見た兵士が


「くっ、他にも侵攻を許していたとは……ご自慢の部隊も大した能力ではないようだな」


と同法に対する発言とはおよそかけ離れた言葉を口にする。

その言葉を聞いた空孤はしんr

「その言葉、今に貴方達が言われる側になるわよ」


と強い口調で告げる。警告とも挑発とも、そして怒りが混じっているとも様々な解釈が出来る強さの声である。


「五月蠅い!!これだけの大型兵器が……」

「孤妖術、新緑の投擲!!」


兵士が言い終わる前に空孤は孤妖術を発動させ、上から木の槍を次々と落とし大型兵器を中に乗っている兵士毎貫いていく。


「くっ……だがまだ全滅した訳では……」


最初の兵士がそう告げると同時に上から新たな槍が降り、その兵士が乗っている兵器も貫く。

兵士自身は辛うじて脱出し、そのまま空孤に襲い掛かろうとするがその直後に背後から何者かの打撃を受けて気を失う。


「あら……予定より早かったのね、涙名君」


兵士の背後に立っていたのは涙名であった。


「うん、あの大型兵器があるが故の慢心なのか、崩すのは容易だったよ。

だけど、それは裏を返せば……」

「ええ、あの兵器がそれだけの脅威となり得る存在であると言う事でもある……

人族側の協力者さんが情報を提供してくれなければ完全に呆気に取られたかもしれないわね」

「いや、殆ど取られていたよ……今回の一件だって余りにも唐突に決まった事だし……」


空孤と涙名の会話からあの兵器が魔神族側から見て十二分に脅威になり得る事、そして今回の侵攻が完全に想定外である事が読み取れる。


「左右に分散してくれた彼等、ここに戻ってこないわね」

「此方の意図を酌んでくれたのか、それとも……」

「どちらにしても、今の内に私達も進んだ方が良さそうね」


空孤と涙名はそう示し合わせ、顔を合わせて頷くとそのまま兵器に向かって走っていく。

一方、爆発音に反応し、左右に分散したコンスタリオ小隊はそのまま周囲を回り、兵器の後ろ側に出てきていた。

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