第729話 兵器の策略

「皆様、一体何のお話をされているのですか?」


人族部隊がその会話に気付いたのかふとそう問いかけてくる。それに対しコンスタリオが


「いえ、さっきの兵器について少し気になってね」


と一見すると誤魔化しているようにしか聞こえない返答をする、だがその視線の先は確実に現地部隊の行く先に起きている揺らぎを捉えていた。


「!!迎撃態勢を!!」


そう叫んだコンスタリオであったが既に出遅れており、その視線の先から先程と同じく階段が出現し先史遺産の兵器が出現する。


「先史遺産の兵器……今回の迎撃は転移無しでもしつこいですね!!」


半ば怒り気味のシレットがそう言いながらサンダー・ブラスターを放って現れた兵器を破壊するものの、すぐさま次の兵器が出現し現地部隊に迫る。


「くっ、やはり標的は……」


コンスタリオ小隊は現地部隊のもとに近寄ろうとするがその時背後から兵器の機関銃らしきもので足元に銃撃を受ける。

何とか被弾を免れたコンスタリオ小隊が振り向くとそこには前方とは別の階段、そしてそこから現れたと思われる別の兵器が陣取っていた。


「背後を取られた!?一体どうやって……」

「個々の先史遺産の遺跡は自由自在に地上に出入り口を作る事が出来るのかもしれないわね……そう考える他に転移無しでここまで追跡出来る理由は考えられないわ」


困惑するシレットに対し現状で考えられる仮説を立てるコンスタリオ、このままでは現地部隊を支援する事は出来ないと考えたコンスタリオは止むを得ず背後に陣取っている兵器の殲滅を優先する事を考える。


「バースト・エル!!」


そういうとコンスタリオは兵器に接近し、その中心部分を魔力を込めた肘打ちで凹ませ、そこから爆発させて破壊していく。

それに続く形でモイスとシレットも銃撃や雷撃で兵器を瞬く間に殲滅するものの、それでも確実に時間は取られてしまう。

兵器殲滅後のコンスタリオ小隊が現地部隊の方を確認すると明らかに先程より数が増えている先史遺産の兵器が現地部隊の周囲に纏わりつき、既に負傷者も多数確認出来ていた。

その中には命の危険を感じられるレベルの負傷者もいた。


「くっ、いつの間にあれだけの戦力を……」

「前もって準備されていたのかもしれないわね、そうだとしたらこれは完全に私たちの判断ミスだわ!!」


戦力の多さに動揺するシレットに対し、コンスタリオはそのミスを返上すると言わんばかりに兵器の集団が群がる現地部隊のもとへと駆け寄っていく。

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