第724話 遡る真実

「だけどよ、俺達が学んだ歴史は魔神族との戦いの歴史が中心なんだぜ、それに魔神族は何度も人族を卑劣な手段で陥れてるんだ、平和交渉の時だって……」


モイスも釈然としない様子を見せ、その言葉にもそれが現れるがコンスタリオは


「……その事実を魔神族側はどう伝えているのかしら?自分達は人族を陥れました何て教科書に書くのかしら?」


と違った視点でスターの言葉を読み解く。

コンスタリオの言葉ではっと気が付いたのか、シレットとモイスも察した表情を浮かべる。


「つまり、魔神族側は人族側に陥れられたという形で歴史を学んだかもしれないって事か……となると、双方の記述を違えて一番得するのは例の黒幕」

「スターが言いたいのは教科書にもそいつらの魔手が入り込んでいるのかもしれないって事ね。

そうだとするなら、これまで通りの歴史を学んでいては知らず知らずの内にそいつらにとって都合がいい存在になり果ててしまう可能性がある、其れを指摘しているの」


スターの意図を察したのか、モイスとシレットも歴史に対する疑念を抱き始める。

するとコンスタリオは


「STARは現在の状況から魔神族側の歴史を知る機会に恵まれた、そこで学んだ歴史を基にこの仮説に行き着いた。

そして私達にもそれを呼び掛けているのよ」


とスターの意図を読み解く。


「となると私達がするべき事は人族側の歴史を教科書には書かれていない詳細まで調べ、其れをスターに返信する事が一番最善の策かもしれませんね。

スターが魔神族の歴史を知ったのであればそれと照らし合わせて何かを掴んでくれるかもしれません」


シレットの提案にモイスとコンスタリオは反対はしなかった、だが


「それはそうだとは思うわ。けど一体どうやって?」


という当然の疑問が浮上する。

それに対しシレットは


「一番手っ取り早いのはキャベルの資料室を調べる事ではないでしょうか?

キャベルの資料室に私達は足を踏み入れた事はありませんし、キャベルは人族第二の防衛拠点、そこにある資料にも何かがあるのではないかと思うんです」


と告げる。

だがモイスとコンスタリオがそれに納得も反対もする間も、否考える間もなく拠点内にサイレンが鳴り始める。


「どうやらその提案云々を考えるのは後になりそうね。

まずは任務をこなさなくては」


少しがっかりした様子のシレットと共にコンスタリオ、モイスは司令室へと向かっていく。

そして例によって司令室に入ると司令官がおり


「皆さん、新たな先史遺産の任務が発生しました」


と告げる。

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