第725話 樹海の先史遺産

「先史遺産関連の任務……前回に引き続き護衛ですか?」

「察しが早くて助かります、その通りです」


コンスタリオが半ば皮肉の様な口調でそう告げると司令官は


「今回はここより南側、森林地帯より発掘された先史遺産を運び出して欲しいのです」


とそれを意に介さないといった雰囲気でコンスタリオに対して話す。

だがその内容を聞き、コンスタリオ、シレット、モイスの表情に少し変化がみられる。


「森林地帯?一寸待って下さい、そもそもそこに森林地帯があるなんて話自体私達は聞いていませんよ」


シレットがそう告げると司令は


「ええ、実を言うとこのエリアは元々魔神族の支配下にあったのですが最近魔神族が何らかの理由でこのエリアを放棄したらしく、これまで送り込んでは帰還しなかった調査部隊が先日初めての帰還を達成する事が出来たのです。

しかも先史遺産の遺跡の発見というおまけつきで」


そう話す司令の顔は何処か得意げであった、その様子を見てコンスタリオ小隊は何処か不信感を抱く。

いや、元々あった不信感が増大したと言った方が適切かもしれない。

それを察したのか、司令官は


「その遺跡を調査したのですが、内部はほぼ魔神族に調査されており、殆どの兵器は持ち出されておりました。

ですが僅かに残されていた兵器や技術を少なからず確保する事が出来、此方としても戦力の増強に繋がる事は間違いありません」


と真顔に戻って語る。


「それを制御する事が出来ればの話だけどね……」


シレットは内心でそう毒気付くものの、一応は司令官という事もありそれを口に出す事は無かった。


「今回アンナースは別任務についてもらっており、残念ですが前回の様に彼女の助力を得る事は出来ません。

現地部隊と協力し、先史遺産の技術と兵器をここに持って来て下さい」


司令官がそう発言するとコンスタリオは


「了解しました、では早速出撃します」


といい、シレットとモイスを引き連れて出撃していく。

だがその顔が決して自分の命令に心から従っていると言う訳では無いと言う事を司令官は感づいている様子を見せる。


「コンスタリオ小隊……彼等を此方に取り込むハードルは徐々に上がりつつある……何か大きな手段を打たなければ最悪は此方の敵に……

そうなる前に決着をつけたい所だ」


その直後に指令が呟いたこの言葉がそれを物語っていた。

一方、コンスタリオ小隊は飛空艇を現地に飛ばすものの、見た目通りの森林は視界が悪く又着陸できる場所もない為直接現地に着く事は出来ない。

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