第723話 伝えたい相手

「何方もブントが私腹を肥やせる様にそれぞれが所属する種族を誘導している。

一見するとまるで自分達の種族が被害にあっているかの様に見せかけてね……

これを伝えたらどういう反応を示してくれるのかしら?」


星峰はそう呟くと手元の端末を操作し、誰かへと文章通信を送る。

最も、星峰がそんな事をする相手は決まっているが。

そう、彼女達である。

其れをやり終えると星峰は直立し


「流石にここまでやると疲労してくるわね、天之御もああ言っていた事だし、今日は本当に休む事にしましょう、でないと流石に体が持たないわね……」


と言ってから床に横向きに入り、そのまま夢の中へと落ちていく。

一方、その星峰の文章送信相手はというと部屋の中において会話をしていた。


「ミラノタウンの一件に魔神族が干渉してきた事、やはりどこのデータベースにも掲載されていませんね」

「まだ起こって日が浅いと言う事もあるのかもしれないけど、其れにしたってどこのデータベースにもその記述の片鱗も無いというのはやはり作為的な何かを感じるわね」

「まあ、兵器に襲われたタウンが魔神族に救われた何て早々書けるほうがどうかしていると言えばどうかしているのかもしれないけど」


シレット、モイス、コンスタリオの三名も又、本部に帰還した後今回の一件について話し合っていた。

彼等も又、今回の一件について大いに疑問をもっているためである。


「突然襲撃してきた兵器、其れを食い止める為に戦った魔神族、そう考えるとあの兵器が魔神族の戦力であるという可能性は、少なくともあの魔王の配下である可能性は限りなくゼロに近いわね。

そう考えた場合、あの兵器が襲撃してきた理由はまだ分からないけど、その背景には何かありそうね。

スターが言っていたこの戦乱の奥に潜む何者かという背景が」


コンスタリオがそう告げた次の瞬間、今話題に上がったスターから通信文章が届く。


「おやおや、噂をすればって感じだね、話題に上がった直後にもうメッセージが届いたよ」


モイスがそう告げるとコンスタリオが文章を開封し読み上げていく。


「今回は何を知る事が出来たのかしら……戦乱を望む黒幕は歴史の裏に潜み続けている可能性がある。

そうだとするならこの世界そのものの歴史がそもそも歪められたものなのかもしれない」


コンスタリオが読み上げた文章を聞き、シレットは


「つまり、私達が伝え聞いていた歴史はそいつらによって都合よく作られたものかもしれないって事?」


と今一つ釈然としない様子をみせる。

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