第699話 実現する懸念

「一体何が起こったの!?この警報は……」


状況が呑み込めない星峰に対し霊諍は


「星峯さんはまだご存じなかったんですね……この警報は先史遺産が関わった事案が発生した場合に鳴り響くこの施設専用の警報です」


と告げ、それを聞いた星峰は顔色を変える、如何やら事態を一瞬で理解した様である。

その辺りは流石と言えるだろう、直ぐに何時もの冷静な顔を取り戻し


「と言う事は先史遺産絡みの案件が何か起こったのね!!」


と告げ、霊諍はその言葉に頷く。


「直ぐに事態を把握して!!」


霊諍のその言葉に施設の職員は一斉に動き出し、瞬く間に態勢に入る、その様子は不謹慎ではあるが手馴れた者であり、このような事態が起こったのが一度や二度の事ではない事を物語っている。


「状況把握完了、如何やら西大陸の最も端にあるミラノタウンにおいて先史遺産が多数起動!!タウン内を蹂躙している様です!!」


職員の一人がそう告げると岬が


「ミラノタウンって言ったら西大陸の貿易生命線とも言える港町よ!!規模も首都に次いで大きい、そしてブントに抑えられている場所なのにどうしてそこで……」


と困惑した口調で話し、それを聞いた豊雲は


「研究中のミスで起動したか、或いは何者かが故意に引き起こしたか、何れにしてもこのままでは私達が懸念している事が早くも現実になり兼ねません!!」


と続ける。

その言葉を聞くまでもなく天之御は


「ああ、港町を先史遺産に占拠されでもしたらそこから被害が拡大しかねない、それに上手く行けばブントから解放するチャンスかもしれない。

不謹慎だけどね……」


と少々自嘲的なしゃべり方ではあるもののミラノタウンの混乱に介入する意思を明確にする。

それを聞いた星峰が


「ええ、急ぎましょう!!」


と告げると


「今回は僕も同行します!!先史遺産が絡んでいるのであれば放置は出来ません、それに……」


と霊諍も言葉を続ける。


「霊諍……分かった、君は軍属ではない以上僕が指示を出す事は出来ない、それにこの状況で口論している時間もない、急ごう!!」


天之御はそう告げて霊諍の同行を認め、一同は転移妖術でミラノタウンへと移動する。

そして移動先のミラノタウンへと辿り着くものの、そこは既に先史遺産の兵器が跋扈しており彼方此方に住民らしき人族が倒れていた。


「何なのコレ……酷い……」


その光景を目にした岬が思わず絶句するとそこに小型兵器が現れ岬に飛び掛かって来る。

それに気付いた岬は絶句した怒りをぶつけるかの様に全力の蹴りを兵器に叩き込み兵器を破壊する。


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