第700話 混乱の港町

岬の怒りが炸裂したのか、兵器はばらばらに砕け散る。

その様子に星峰はただならぬ不安と岬の心境を察するが、この状況でそれを聞いている時間は無い。

すぐさま街中に入り、状況を確認しようとするがその際に人族兵士に見つかってしまう。


「!!魔神族までタウン内に入り込んでいたか!!否、この状況……寧ろお前達が兵器を送り込んで……」


兵士はそういうと一同に銃口を向けようとするがそれよりも早く涙名が懐に入り込みその腹部に肘打ちをして気を失わせる。


「この兵器を送り込んだのが僕達なら態々こんな所に来ないよ、最も、あんた達にそれを言った所で無駄だろうけどね」


涙名のその一言はこの兵士達がブントの構成員である事を示していた。其れを証明する為かどうかは不明だがその場に他の人族部隊兵士も集まってくる。


「ちっ、こいつら街を守ろうって気持ちはねえのかよ!!兵器をほっぽり出してこんな所に……」


人族、いやブント部隊の行動に苛立ちを隠せない八咫、一方でそこから少し離れたタウン中心部では爆発音が聞こえてくる。


「爆発音……兵器が破壊された音ならいいのだけど、そうでないなら……」

「どちらにしてもこんな所で道草を食っている暇は無いわ、急いで向かいましょう!!」


空弧が不安げな声を上げると星峰は空弧に対し強気にこう言い切る、その言い切りには弱気になりかけた空弧を叱咤激励するという意味も込められていた。

其れを察したのか空弧は


「そうね……こんな所でぐずぐずしてはいられない!!弧妖術……紫の葛藤!!」


といって弧妖術を発動させ、人族兵士の周りに紫色の靄を出現させる。

その靄に包まれた人族兵士は頭を抱えたり目を抑えたりしてその場に座り込んでいく。


「今です!!急ぎましょう……」


空弧がそう告げると間も無く一同はその場を後にしていく。

その足は先程爆発があった中心部分へと向いていくがその途中、蹲ったり血を流して倒れている人族を何人も見かけていく。

其れも兵士だけではない、街の住民も多数含まれており、その中にはこのままでは命が危ういであろう負傷者も含まれていた。


「ひどい……住民までこんなに負傷している……単なる内部抗争ならここまでやるなんてことは……」

「だとすると、やはりこれは先史遺産側の問題かもしれないですね、最も、この状況ではそれを議論している時間もなさそうですが」


負傷者の多さに涙名が思わず漏らすと霊諍は先史遺産側の問題の可能性を指摘する、そしてその先史遺産の兵器が正に目の前に現れる。

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