第696話 霊諍の呼び出し

「一体何があったんです?いきなり私達を集めたと言う事は何かあったのでしょう。

ですがブントの襲撃という訳でもなさそうですが……」


空弧がそう尋ねる辺り、まだ彼女達も話を聞いてはいないのだろう。

そう星峰が判断するのに時間はかからなかった、否、それ以外に考えられる選択肢はなかったというべきだろうか。


「実は先程霊諍から連絡が入り、至急且つ直接伝えたい事があるので直ぐに来てほしいというんだ。

それが何なのかは僕にも分からない、だけど霊諍の様子からして寂しいから気を引きたいって訳じゃないと思う」


空弧に問いかけられ、天之御は神妙な顔つきのままこう返答する。

その返答には何処かこれまで感じた事が無い重みが感じられた。


「彼がそんな話を……今までになかった事ですね。

だから私達を集め、その上で向かうという訳ですか」


岬がそう尋ねると天之御は


「うん、ブントの襲撃によるものではないとするなら考えられるのは先史遺産についての事である可能性が一番高い。

そして先日のコンスタリオ小隊が関わった作戦……このタイミングで来たと言う事についても何かあるんじゃないか、そう思えてならないんだ……」


と語る。

その口調は何処か重さが感じられ、同時に何か不安を抱いている様にも聞こえる。


「なら、此処で話していても仕方ないわね、急ぎましょう!!」


星峰のその言葉と同時に天之御は転移妖術を発動させ、一同を霊諍の故郷へと転移させる。

そして現地に到着すると一同は霊諍の待つ中心施設へと向かう。

施設の中に入るとそこには玄関先で霊諍が待機していた。


「流石、早速来て下さったんですね。

実は今回お呼びしたのは先史遺産の事についてなのですが、解析した幾つかの兵器より厄介な技術が使われている可能性が出てきたんです。

此処で話すよりも実際に解説しながらの方が良いでしょう、どうぞ此方へ」


霊諍はそういうと一同を会議室へと案内し、案内された一同はそれぞれ着席する。

其れを確認すると霊諍は前のモニターに何かのデータを表示し


「実は以前から皆さんが此処に運んできて下さった兵器を解析していたのですが、その内の幾つかに共通するある厄介な技術が搭載されているのです」


と告げ、モニターの一部を指差す。

其処は赤く点滅しており、恐らくはそれが厄介な技術を示しているのだろう、その事は容易に想像出来た。


「その厄介な技術っていうのは具体的にどういった物なの?}


星峰が問いかけると霊諍は


「記録した対象と一定以上の距離がある場合、その対象元へ転移する技術です」


と返答する。

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