第692話 もう一方の視点
その文章は当然ながらスターこと星峰の元へとすぐさま届き、今回の一件の顛末を星峰も目にする事となる。
「ブントの奴等……さっきの作戦行動にもコンスタリオ小隊を巻き込んでいたのね、全く性懲りもなく」
分の冒頭部分を読んだ星峰は呆れた様な口調でそう話すがそこから続くモイスの一件を目にして顔が変わっていく。
「モイスが……魔力で武器を強化した?それって……」
その一文に星峰も引っ掛かりを覚えたのか、その文章を見る姿勢が本人も気付かない内に前のめりになっていく。
其処に
「星峰、今入って構わないかい?」
と扉の外から天之御の声、そして扉をノックする音が聞こえてくる。
その音で我に返ったのか星峰は
「え?ええ、構わないわよ」
と返答するが、返答の最初の部分は明らかに動揺が混ざっていた、当然天之御がそれに気づかない筈も無く
「どうしたの星峰?何か動揺している様だけど……」
と不思議そうにも心配そうにも聞こえる声で訪ねてくる。それに対し星峰は
「……今、コンスタリオ小隊から通信文章が届いたわ」
とその理由の一端を口にする。
天之御に対して下手な言い訳は通じないと分かっているが故である。
「コンスタリオ小隊から通信文章か、となるとその文章の中に何か気掛かりな事が書いてあったんだね」
天之御は星峰の動揺の理由を察したのかすぐさまこう口にする。それを聞いた星峰は
「ええ、その通りよ。
先程までブントが展開していた先史遺産の移送作業にコンスタリオ小隊が関わっていたの」
と先程の一端を天之御に伝える。
「ああ、草原地帯に合った先史遺産を輸送していた作業だね、あの辺りにあるのはブント側の街ばかりだったから僕達としては介入するには出来なかった。
だけどその状況で彼等が関わっていたと言う事は」
「ええ、無人防衛兵器と交戦したと言う事も書いてあったわ、そしてその兵器が転移魔術を用いて出現した事も」
「転移魔術を使う兵器……確かにいたね、この前調査した施設の中にも。
それが他にも出現したとなると大きな脅威にはなり得るけど、君が動揺したのはそこじゃないんでしょう」
「ええ……今回作戦行動中にモイスが魔力を用いて自身の武器を強化すると言う能力を発動させたと言う事なの」
その後も天之御と星峰の会話は続き、最終的に星峰は自身が動揺した理由であるモイスの一件について口にする。
「モイスっていうのは星峰が話していたコンスタリオ小隊のメンバーの一人である銃使いの少年の事だね、彼が魔力で武器を強化したと」
星峰の発言に天之御は何かを察したような素振りを見せる。
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