第691話 未知なる力
「隊長……」
「シレットの言いたい事は分かっているわ、今回のモイスの事についてでしょう」
シレットが何かを言いかけるとコンスタリオはそれを制し、先にこう告げる。
最も、コンスタリオが言うまでも無くシレットが言いたいのはモイスの事ではあったが。
「はい、今回のモイスの能力は今まで、少なくとも私は他の誰かがやったというケース見た事も聞いた事もありませんでした。
其れをいきなりやってのけた……しかもモイスは魔力は殆ど持っていないのに……」
シレットが驚いていたのはモイスが今回やったことが前代未聞の出来事であった事である、そしてそれは
「ええ、一体モイスが何時あんな能力を考えだし、使用出来る様になったのかは分からない。
だけどあの能力は私やシレット、スターを含めても過去に例がない、魔力を用いて武器を強化するなんて……
しかもそれをやってのけるだけの能力がモイスにはあった、これは一体何を意味しているの……」
と話すコンスタリオも同様であった。
「意味……ですか?」
シレットがそう問いかけたのはコンスタリオが話した意味という言葉が引っ掛かったからだ、その言葉に対しコンスタリオは
「ええ、意味よ。
もしこれが単なる偶然じゃなく、何か意味を秘めた事なのだとしたら……私にはそう思えてならないの」
コンスタリオの言葉は単なる推測であり根拠は無い、だがその言葉には何処か真実味が漂っていた。
それが何故なのかはコンスタリオ本人にも分からないが。
「……モイスがあんな事を出来たと言う事はつまり、私達も方法を取得すれば同様の事が可能なのでしょうか?」
「可能だとは思うわ、最も、これまで前例のない今回モイスがやった事を私達が調べ、そして実行する事が出来ればの話だけどね」
シレットの言葉をコンスタリオは肯定しつつも何処か突き放したような言い方もする、それは内心で今回の現象に危機感を抱いているが故なのか、それとも……
「隊長の懸念は分かります、今回のモイスの疲労は只の疲労として片付けてしまうには重すぎます……ですが、これから先の戦いを生き残っていく為には必要な力でもある、そんな気がするんです」
シレットもその心中を察したのか、コンスタリオに対し反発したりする事は無かった。
「とりあえず、スターにも連絡をしておきましょう、もしかしたら何か有力な情報を送ってきてくれるかもしれないわ」
コンスタリオはそう告げると端末を起動し、スターに当てた通信文章を送信する。
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