第680話 アンナースへの疑念
「もしそうだとするなら、アンナースが私達に積極的に関与してくるのもその裏側の組織の為なのでは?あまり考えたくはありませんが……」
この記録を見てシレットはそう考える、彼女自身、そう考えたくない、打ち消したいという気持ちは抱えていた。
今回の作戦前の彼女であれば迷わず首を激しく横に振って打ち消そうとしていただろう、だがもうそれは出来なくなっていた。
それ程までにあの施設で見た光景は衝撃的であった。
「だとすると、アンナースが所属している組織は私達を取り込もうとしている……?自分達の戦力の増強の為に……いえ、もしかしたらそれだけではないのかもしれないわね……」
シレットの仮説を聞き、別の可能性も視野に入れるコンスタリオ、その仮説が的中しているのは確かだが、コンスタリオの仮説は的中を遥かに上回る箇所に着地しようとしていた。
「……もしかして、裏側組織はスターの事についても何か知っているの?そしてスターが自分達の事を調べているという事も……それに対する備えとして私達を取り込もうとしている……
飛躍した仮説だけど、考えられなくはないわね……」
コンスタリオは内心でこう考えていた、そしてその仮説により、一層スターの身の安全が気にかかる。
一方、そのスターこと星峰はブエルスの自室に戻り、先程コンスタリオが送信したメッセージを受け取っていた。
それを見つめながら
「成程……気づいてくれたって訳ね、奴等の三文芝居を脚色して改変させた甲斐があると言う物だわ」
と呟くと同時に何処か安堵、そして笑顔を浮かべていた。
直ぐ様返答するべきと思ったのか、手元のキーボードに指先を動かし始める、だがそこで指をふと止め
「……待って……直ぐは流石に妙に思われるわね、ここは……」
と自分に言い聞かせ、先程頼まれた今回入手したデータの分析に着手する。
直ぐにキーボードに手をかけ始めたのはコンスタリオ小隊の行動を嬉しく思ったが故だろうか。
一方コンスタリオ小隊も又、引き続いてデータの収集を続けていた、だがそこに水を差すかの様に
「コンスタリオ小隊の皆さん、今後の方針について話し合いたいので司令室にお越し頂けますか?」
と言う呼び出しの放送が入る。
「このタイミングで呼び出し……空気が読めないのか、それとも偶然か……」
モイスがそうぼやくとコンスタリオは
「取り敢えず行くしかないわね、まあ、言った先で又何か分かるかも知れないけど」
と返答し、この呼び出し先でも探りを入れる気であることを悟らせる。
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