第681話 生じつつある亀裂
司令室に呼び出されたコンスタリオ小隊、その目の前には渦中のアンナースと総司令官が居た。
「私達を呼び出したという事は今後の方針が決まったという事でしょうか?」
部屋に入って早々に司令官とアンナースに問いかけるコンスタリオ、その問いかけにアンナースは
「ええ、取り敢えず今回の一件でオペールタウンが危険に晒される事になってしまったのは間違いないわ、何しろ周辺の一角が敵の手に落ちてしまったのだから」
と明確に返答する、だがその敵と言う言葉の意味が
「その敵と言うのは誰にとっての敵なの……あそこには人族も今居るというのに……」
とコンスタリオの内心にはより疑念を深める結果となった。
「その為、オペールタウンは今後当分の間防戦に専念し、それに代わって此処が実質的な防衛最前線を任される事になりました。
つまり、これからは拠点としてだけでなく、防衛戦力も此方の戦力を中心に組み立てていくことになるという事です」
司令官がそう告げるとシレットは
「今のお話を聞いた限りではこれまでとあまり変化が無い様にも思えますが、具体的にはどの様にこれまでと変化があるのですか?」
と問いかける、現状との違いが今一つ分かりにくかったのだ、そしてそれはモイスとコンスタリオも同意する。
すると司令官は
「つまり、これまでと比べ他のタウンからの戦力の援助を得るのが難しくなるという事です。
これまで私達の戦力に他の戦力が援助してくれていたのはオペールタウンが背後にあり、その防衛戦力が後ろ盾として機能していたという事が大きいのです。
ですがその後ろ盾に罅が入ってしまった以上、これまでの様に戦力を提供してもらうというのは困難となりました。
そこで今後はここの防衛戦力を中心として魔人族部隊と戦っていかなければなりません、その為、今後の戦いは更なる厳しさが予想されます」
と告げる。それを聴いたコンスタリオは
「状況はそこまで良くないのですか……」
と困惑した声を上げ、アンナースは
「ええ、オペールタウンの周辺に亀裂が生じた事実は予想以上に此方の部隊に動揺を齎しています。その結果、タウン同士の連携にも少なからず支障が出ており、これまでに比べ自軍の戦力で防衛する必要性に迫られているのです」
と告げる。
「もしかして彼等はこれを機に裏側の組織を炙り出すつもりなの……だとしたらそれは……」
コンスタリオは内心で更なる疑念を抱くものの、それをおくびにもださず
「それは分かりましたが、具体的にどうするつもりなんです?」
と今後の具体策について問いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます