第674話 演舞の終焉

コンスタリオ小隊が部屋に入り、この光景を見て呆然としているところに姿を見せた星峰や天之御はコンスタリオ小隊にこの部屋の真実を告げ、それを聞いたコンスタリオ小隊はこの部屋を後にしていく。


「コンスタリオ小隊がこの部屋、そしてブントの存在を知った事で今後の流れがどう変わってくるか……きっちりと見定める必要がありますね」

「ああ、さっきコンスタリオ小隊が通信していた司令官もブント側だろうから既にブントには知られたと考えてまず間違いないだろうしな。

で、俺としてはこの部屋は直ぐにでも破壊したいんだが……」


岬と八咫が今後について少し話し出すと八咫はかなり過激な発言を口にする。だが其れを聞いた天之御は


「そうしたいのはやまやまなんだけどね、コンスタリオ小隊が確認のためにここを再調査する可能性もあるから今は破壊する訳には行かないよ。

それに今破壊したらやっぱり僕達が悪事を働いていて其れを隠滅する為に行動した様に思われるかもしれない」


と八咫を諭す。

その発言を聞いた八咫は


「分かっていますよ殿下、一寸言ってみただけです、最も言葉の内容自体は本心ですが」


と実際にやる訳ではないと言いつつもその言葉は本心であるというやや過激な発言をする、その言葉からはブントへの、そしてこの施設に対する嫌悪感が確実に感じられた。


「さあて、コンスタリオ小隊がここに来るまでの間にここの機械から記録されて言うデータは入手しておいたけど、これからどうしようかしらね?」

「そんなの決まってるよ、司令室に向かって現状を確認する、これが次の行動だよ」


星峰がわざとらしく次の行動を天之御に対し遠回しに聞くと天之御は明快な声でこう答える。

其れを聞いた星峰は


「ならさっさと済ませましょう、こんな所に長居は無用だわ、というより長居していると気が可笑しくなりそうになる」


といい、その言葉を聞いた人族兵士が司令室への案内を買って出る。

星峰の言う気が可笑しくなりそうになるという言葉の真意はその場に居る全員が共有している感情であった、ブントが既に人工生命にまで手を染めている事、それが兵士として使い捨てられる運命であると言う事等が理解出来ているが故にこの様な怒りを抱くのだろう。

そしてその怒りは人族兵士も同様だったようであり、司令室に向かう足が次第に早足になっていく。

天之御達でなければ置いていかれそうなスピードであり、その事からも兵士の内心が怒りに満ちている事が感じられる。

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