第668話 二つの種族が交わる時

「な、何故そのような事を?そんな筈がある訳……」


司令官はなおも取り繕おうとするがその瞬間に星峰が手にした剣の柄の部分で司令官の腹を突き、気絶させてその場に倒れ込ませる。


「恥の上塗りって見苦しいのよね、もう既にばれているというのに。

序に言っておくと、天之御に対する暴言もきっちり録音しておいたから既に言い逃れは出来ないのよ」


そう語る星峰の目は怒りというよりも軽蔑と冷淡さに満ちている様に見えた。

そこにガンマタウン内に突入した筈の天之御達も現れる。


「全く、本心を表すのが速すぎるね、まあ、そのお陰で問い質す手間が省けた訳だけど」


涙名が呆れた様な口調でそう告げると


「全くですね、ですが既に上層部からこれだけ連絡が入っているとなると……」


と空弧も同調するものの、その声は直ぐに若干の不安が混じった物になる。


「ええ、其れだけ見られたくないものがあそこに存在している、そう考える事が出来るわね、だとするとコンスタリオ小隊も場合によっては無事では済まないかもしれない、急がないと」


その不安を感じ取ったのか、星峰の口調も少し深刻さを含んだ物になる。そこに天之御が


「コンスタリオ小隊だけじゃないよ、あの場所にも僕達に対する協力者は居るんだ。場合によっては彼等の身にも危険が及ぶかもしれない。

此奴等が能無しの集まりだったとしてもそれだけに場合によってはとんでもない暴挙に出る事も考えられる、そうなる前に対処するよ」


と自身の見解を若干の暴言を含めて話し、それに他の面々は首を縦に振って頷く。

そして一同はそのままガンマタウンへと足早に進めていくのであった。

先に入った魔神族部隊が通ったであろう通路をなぞり、一同が先に進んでいくとそこでは既に現地に居た人族部隊と魔神族部隊が交戦していた。

その光景は今までのブント同士の茶番劇とは異なり、通常の戦場と何ら変わる事の無い混戦といえる状況であった。


「既に交戦中……だけどこの光景はブント同士の交戦とは明らかに様子が異なりますね、と言う事はつまり……」


岬がそう呟いた次の瞬間、近くに居た魔神族の兵士が人族兵士の撃った銃に倒れ、その銃を撃った兵士が天之御達に近付いてくる。

人族の兵士が近付いてきたと言う事で一同は警戒体制を取るがその兵士は


「天之御殿下!!」


と叫んで天之御に呼びかけてくる。

その呼びかけを聞いた瞬間、星峰達の警戒心は解け一気にその兵士を受け入れる体制を取り始める。

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