第658話 悪夢過る中

「お、おい、もう煙が上がってんじゃねえか!!炎が見えねえって事は燃えてる訳じゃねえみてえだが……」


既に黒煙が上がっている、その光景にモイスやシレットも、コンスタリオも困惑と同様を隠し切れない。


「兎に角突入するわよ!!中がどうなっているのか確認しなければどうにもこうにもしようがないわ」


コンスタリオのその声と共に三人は黒煙があがる施設の中に突入していく。

そして中に入るとそこには人族、魔神族の兵士が双方入り乱れて倒れていた。


「何よ此れ……魔神族の兵士も倒れてる……一方的に押されたって訳じゃないみたいだけど……」


双方が入り乱れているという状況からそう推察するシレット、その推察自体は


「そうね、ある程度は抵抗出来たのかもしれないわね」


とコンスタリオも同意する、だがコンスタリオの内心では


「だけどこの倒れ方、何か引っかかる……それにこれだけの兵士が送り込まれているのなら爆発や黒煙等が存在するのは……」


とこの状況に何処か不自然な感覚を抱いていた。何か引っかかる物があるのだろう。


「兎に角、中に居る人族兵士を援護しつつ、魔神族兵士を追い出すわよ!!万が一建物を爆破されでもしたら最悪は此方の戦力が総崩れになる!!」


コンスタリオのその一言でモイスとシレットも気が引き締まる。

そして三人は足並みを揃え、施設の奥の方へと向かっていく、その途中にある壁は破壊されてこそいないものの、真新しい傷や血の痕があり、此処で戦闘が行われていた事を伺わせる。

更にその途中、天井の一部が破壊され、そこに電線が引かれていたのを見て三人はそこに警備システムがあった事を推察する。


「警備システムが破壊されている、やはり魔神族はこの通路を通ったのか!!」


モイスがそう叫ぶとシレットは


「ええ、もう間違いないわね。だとするとこの先に魔神族の兵士が……」


と言いかけるがそれを言い終わるまでも無く目の前に魔神族の兵士が姿を現す。


「くっ、行ってる傍から来たわね……」


そういうとシレットは応戦体制を取ろうとするがその兵士達がシレットの目に入った直後に銃声が鳴り響き、魔神族の兵士はその場に倒れ込む。


「何、何が起こったの!?」


余りに突然の出来事にシレットが困惑した声を上げると魔神族の兵士と入れ替わる形で人族の兵士が二人現れる。


「今魔神族の兵士を撃ったのは貴方達なの?」


コンスタリオが問いかけると二人の兵士は


「はい、私達は先程の兵士を追跡していましたので」


と声を揃えて返答する。

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