第655話 戦場となるγ

「今それを話している余裕はないわ、其れよりも市街地戦が避けられなくなるのが問題よ、被害を拡大させる訳には行かないのだから」


コンスタリオがそう諭し、シレットとモイスは気合を入れなおした表情を浮かべる。

そして数分後、人族部隊と魔神族部隊はほぼ同時刻にガンマタウンに到着し交戦体制を整える。


「コンスタリオ小隊の皆さんは此処より西側に向かって下さい」


人族部隊の指揮官はコンスタリオ小隊に向けてそう指示する、それを聞いたコンスタリオは


「西に何かあるのですか?」


と疑問を呈する。それに対し指揮官は


「ええ、西側には普段あまり使われていない通路があるのです。もしかしたら魔神族はその通路の存在を知っていて仕掛けてくるかもしれません、なので少数でそこの様子を見てきてほしいのです」


とその理由を説明する。

説明を受けたコンスタリオは


「分かりました、では私達は西側に向かいます。

其方もお気をつけて!!」


と言って西側へと移動していくが、その内心では何か引っ掛かりを覚えていた。


「普段使われていない通路か……もし本当に魔神族がその存在を知っていたら厄介な事になるな」


モイスがそう口にするとシレットは


「でも、あまり使われていない隠し通路何てそもそもそんなに知られている物なのかしら?」


とふと疑念を呈する、だがその直後、シレットの疑念に対する返答と言わんばかりに目の前に魔神族が出現する。


「何?これは私の疑念に対する答えって訳?まるであてつける様に出現してくれたわね!!」


当てつけの様な印象を受けたのか、シレットの声や表情は若干不機嫌な物になる。

其れを証明するかのようにシレットはすかさず


「ライトニング・ブラスト」


と言って雷撃を扇形に放ち目の前に集まっていた魔神族部隊を一掃する。


「既に魔神族もこの内部に突入してきているか……問題の隠し通路からかどうかは分からねえが既に交戦状態になってんのは間違いなさそうだな」


モイスがそう口にするとコンスタリオも


「ええ、二人とも油断しないで、何処から攻撃が来るか分からないわ」


と呼びかけ、二人に警戒を促す。

そのまま進んでいくとその先には一見行き止まりとも思える壁が広がっていた。


「壁?でもここが隠し通路なら……」


シレットがそう呟くと同時にその予想通り壁は開き、その奥から魔神族の部隊が進行してくる。


「この壁の奥が隠し通路って訳か……どうしてこんな所に壁があるのかって疑問は残るがな!!」


そういうとモイスは手にした銃を現れた魔神族に乱射する。

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