第654話 積み重なる疑念
「でもだとしたら何故、そこにコンスタリオ小隊が加わっているの?
ブントがコンスタリオ小隊を証拠隠滅行動に同行させる理由なんて何も……」
「それについてはコンスタリオ小隊側から同行を提案した可能性もあるわね、状況が状況なだけに押し切ったのかもしれないわ」
コンスタリオ小隊が同行している事についての疑問を空弧が口にすると星峰はその疑問について回答する、それはコンスタリオ小隊の性格をよく知るが故の分析なのか、それとも……
一方、その渦中のコンスタリオ小隊は確かに地図が示す通り、人族側のブント部隊と行動を共にしていた。
「何故魔神族がこのタイミングで動いてきたのでしょう?しかもまだ私達が調査していないガンマタウンを狙って来るなんて……」
移動中シレットがそう口にする、どうやらこの状況に疑問を抱いているのはコンスタリオ小隊も同様である様だ。
「それを確かめる為にも半ば強引にこの部隊に協力を申し出たのよ、もしかしたらガンマタウンには他の二つにはなかった何かがあるのかもしれない」
コンスタリオはそうシレットに告げると足早に先へと進んでいく、どうやら星峰の予測通り、彼女達の側からこの部隊に配属を申し出たのは間違いない様である。
「それにしても飛空艇を用いずに移動するなんて久し振りだな、どうして飛空艇じゃなく高速車とはいえ地上戦車に乗せたんだ?」
「確かにね、戦闘になれば先に到達している方が有利になるのは確実なのに……」
モイスとシレットが不意にそう口にする、どうやら今回の配属に対して条件が提示されていたようだ。それを聞いたコンスタリオは
「何か事情があるのかもしれないわね、取り敢えず今回は此方の強引な主張である以上、それ以上に困らせる訳には行かないわ」
と言い、モイスとシレットを諭す。だが彼女自身もその内心では
「二人の疑問も最もね……高速飛空艇で先行した方が此方にとって有利になるのは確実。にも拘らずそれを使わせないと言う事は私達を先行させたくない事情があるの?」
と疑念を抱いていた。
その直後に部隊長らしき存在から全体に向けた通信が入り
「魔神族の侵攻スピード上昇を確認した!!このまま行くと丁度市街地で戦闘になる。各員は到着後、直ちに応戦出来る様に準備を整えておくように」
と伝えられる。
其れを聞いたモイスは
「魔神族がスピードを上げたって事は俺達に気付いて尻に火が付いたって訳か?其れにしちゃ気付くのが遅すぎる気もするが……」
と更なる疑念を抱く。
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