第652話 交わりの始まり

「成程……先程まで調査されていた先史遺産が今回コンスタリオ小隊が送ってきてくれた施設と酷似する箇所が認められたと。

それは確かに気になりますね」


天之御の説明を聞き、その協力者も合点がいったという表情を浮かべる、その説明の後天之御は


「もしこの一致が偶然でなかったとしたらブントとこの施設には何らかの繋がりが厄介な形で存在しているのはほぼ確定事項だ。

だからこそ施設の事を含め、可能な限り迅速な対応が要求される」


と告げ、この問題が改めて深刻な物である事を説明する。

その時、城内のサイレンが突然鳴り始める。


「どうした!?何が起こった!?」


八咫がそう叫ぶと前のモニターに兵士が映し出され


「天之御様、西大陸に突如として人族部隊が現れ移動を開始しています。

その侵攻先はオペールタウン周辺と思われます」


と告げる。それを聞いた一同は困惑した表情を浮かべる。その訳は


「オペールタウンに向かって人族が移動している!?どういう事なの?

オペールタウンは人族側の都市、態々戦力を派兵する必要は無い筈よ!!」


と言う空弧の声に集約されていた。それを聞いた兵士は


「それが……それと時を同じくする形で我が方の部隊も展開し同じくオペールタウンに向かって進路を取っているのです。

どちらが先かという話にはなりますが、恐らくはその部隊に反応して行動を開始したものと考えられます」


と説明する。


「部隊を展開?でも此方からそんな指示は出していない……」

「同じく此方もです。最も此方は烏合の衆、勝手な行動を起こす奴等が居ても不思議ではありませんけどね」


天之御と協力者がそろって部隊の侵攻については知らないという事を告げる、それは決して責任逃れの為にそう告げているのではない、寧ろこの状況においてはそれが示す事実と予測出来る結論の方が遥かに重要であった。


「となると、考えられるのはもう一つしかないですよね」

「うん、少なくとも魔神族の部隊はブントが勝手に動かしているんだ。

となるとその兵士もブントの息のかかった兵士と考えてまず間違いない」


協力者と天之御達の回答は一致していた、それ以外考えられなかったからだ。

其れを踏まえた上で天之御は


「だとすると、その侵攻先はオペールタウンか、或いは……部隊の動きをこちらにも分かる様にして」


と兵士に告げ、その兵士はすかさずその指示に対応する。

恐らくはこの兵士も反ブント側なのだろう、今の会話を聞いていても全く問いかけていないと言う事がそれを証明していた。

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