第651話 異常なる既視感

「で、コンスタリオ小隊は一体何を調べたの?君達に情報を提供して、且つ僕達に通信を繋いできたと言う事は何かしらの収穫はあったと言う事でしょ?」


天之御がそう語りかける、暗に話を続けて欲しいとアピールしているようにも見える、否実際そうなのだろう。

その意図を察したのか協力者は


「ええ、今回彼等はまだ私達が調査出来ていない奴等の施設を調査した様です、今回の調査結果もその施設から送られてきました。

これがその記録です」


と言い、コンスタリオ小隊が送ってきた記録を表示する。それを見た星峰は


「一寸待って……これって!!」


と僅かではあるが確実に驚きが感じられる声を上げる。


「ああ……この既視感は偶然じゃないんだろうね」


星峰の驚きの理由を肯定するかのように天之御も驚いた声を上げる、彼等が驚いたのも無理はない、その施設の光景、特徴はつい先程まで彼等が調査していた施設の宿泊場所に酷似していたのである。


「個性のない部屋、壁に埋め込まれた扉、室内の物の配置……さっきまで調べていた部屋とまるで同じ様な印象ですね。

だとするとこの施設は……」

「あの地下施設のデータを流用して作られた物……と考えるとイェニーがその情報を流したと言う事になりますが、出世に貪欲な存在がそんな事をするのでしょうか?」


空弧が言いそうになった結論は普通に考えれば妥当な線であろう、だが豊雲が直後に続けたこの言葉が空弧の結論に待ったをかける。

それを聞いて空弧も改めて考えを巡らせる、豊雲の言う事も最もであるからだ。


「出世に貪欲な奴が外部に態々そんな情報を漏らす訳がない……と考えるとこうなったのは偶然と考えるには酷似しすぎている。

となると残る可能性は……」

「元々ブントにあの施設の、或いはこうした風習の様な物が伝わっていた、これが一番可能性としては高いわね」


八咫が偶然の可能性も含めた検討をするが、その直後に星峰がその可能性に対し回答をつける。

その回答は先程の動揺が全く感じられない何時もの星峰の回答であり、冷静さを取り戻した事が伺える。


「データが伝わっていたにしろ、風習が伝わっていたにしろ、どちらにしてもあの施設にブントが関わっていた可能性はこれで少なくとも僅かには高まったと考えていいだろうね」


そう天之御が言った所に協力者の


「あの……さっきから何のお話をされているのですか?」


と言う協力者の声が聞こえてくる。それを聞いた天之御は


「ああ、すまなかったね。実は……」


と謝意を述べた後先程まであった事を説明する。

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