第641話 手荒い歓迎の先に

そして機関銃の音が鳴りやんだ時、一同の姿はその場所にはなかった。

今の音から考えるともし見ていた者が居たとしたらやられてしまったのではと考えても不思議ではない、そんなレベルの機関銃音だった。

だがその直後、その機関銃を放った兵器が鈍い金属音を立てて崩れ落ち始める。

その場所には一同が立っており、その無事を確認するかのように周囲を見渡す。


「皆、大丈夫?」


天之御が周囲にそう呼びかける、その呼びかけに周囲の面々は


「大丈夫ですよ」


と、或いはそれに類する言語を口々に発しその無事を確認し合う。

先程の機関銃の際、一同は直ぐに分散し兵器を各個撃破していたのだ。


「それにしてもまだブントが足を踏み入れていないエリアなのにこの歓迎とは……これじゃ先が思いやられますね……」

「確かにね。でもだからって立ち止まる訳にはいかない、急ぐよ!!」


呆れた様な口調で歓迎の仕方を非難する空弧に天之御も言葉を続けるが、天之御の言う様にこの状況で立ち止まっている訳にはいかないのも又事実ではある。

それを分かっているからこそ一同はその先へと足を進めていく。

幸いと言うべきなのかその通路は一本道であり、迷う事は無かった。

その先には更に別の兵器生産ラインが存在していた。


「通路の途中に生産ライン……やはりこの施設は普通ではないわね……」


岬がそう口にしたのはその生産ラインを見たからではない、その奥に更に別の場所へと続く扉を幾つも見つける事が出来たからである、更にそれらの扉は開いていて奥に続いており、別の場所に繋がる通路である事は容易に想像出来た。


「通路の途中にあるのか、或いはそれを見越してミスリードさせる為の罠なのか……それとも全く想像がつかない様な別の理由があるのか、その点は非常に気になりますね。

ですがだからと言ってそれを考えている余裕も無さそうですよ」


涙名がそう告げるとその扉の向こうから小型兵器が次々と出現する、それも今まで見た事ないタイプであった。


「今までにないタイプの兵器ですね……やはりここで生産されたものなのでしょうか?」


岬がそう告げるのと小型兵器がレーザーを撃ってくるのはほぼ同時であった。一同が上手くレーザーを躱すと小型兵器はそれを読んだかのように次の攻撃としてミサイルを放ってくる。


「くっ、生産ラインの近くであるのに……やはり機械だからか容赦ないね……暗雲の瘴気!!」


涙名はミサイルと距離を取りつつ、そう叫んで妖術の霧を出現させてミサイルを包み腐食させる。


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