第642話 涙名の違和感

だがその直後、落下したミサイルを見た涙名は


「何だろう……あのミサイルの落下後、妙な違和感がある……」


と内心に何か違和感を感じるのであった。だがそれが何なのか分からない、自分自身でも何となく抱いているとしか言えないのである。

そんな涙名を視界に入れた星峰は


「涙名、如何したの?」


と問いかける、その問いかけに対し涙名は


「え!?ううん、何でもない」


と前を向き直して戦闘を再開するが、その反応は明らかに不自然さ漂うものであった。

一方、兵器の攻撃は激しさを増し、機関銃やレーザー、ミサイルを組み合わせた攻撃を容赦なく仕掛けてくる。


「くっ、距離を取ったままでは不利ね……ここは!!」


岬はそういうと一気に接近し距離を詰めて格闘術で兵器を一気に破壊していく、だが其れを確認した兵器は前面から回転鋸を出現させ、其れを構えて岬の足に接近していく。


「岬っ!!狐妖術……灰色の衝撃」


其れを見た星峰が鋸を出現させた兵器に対して名前の通り灰色の衝撃波を放ち、兵器を吹き飛ばして破壊すると岬は


「星峰、有難う。だけど此奴等……」


と星峰への感謝を述べつつもこれまでにない対応をしてきた兵器に対する不安を吐露する。


「ええ、今の兵器の行動パターンは明らかにこちらの動きに合わせて対応してきた、今までの兵器に比べると明らかに此方の動きに合わせた対応ね」

「そもそも今の回転鋸自体、今まで見た事の無い武装だった。

遠距離を中心にしつつも接近戦にも対応した兵器、やはりどう考えてもあの兵器はこれまで戦ってきた兵器より上位の機種と考えていいと思う」

「これまで戦ってきた兵器を基に建造された上位種なのか、或いはこれまで戦ってきた兵器があの兵器のデッドコピーなのか」


星峰、天之御、涙名が今の光景を見た上で兵器についての仮説を立てるが、その仮説を話す間も無く兵器の攻撃は激しさを増していく。


「くっ、このままじゃ……」


兵器の攻撃の激しさに思わず弱気な発言を漏らす空弧、だが其れを聞いた天之御は


「気持ちで負けたら本当に負けるよ!!兵器になくて僕達にある物が負けているんだから!!」


という天之御の発言にはっとした表情になる。

一方天之御はそう告げると


「魔王妖術……虚構の海流!!」


と言い、全ての兵器の真下から渦潮を出現させ、その渦に巻き込んでいく。

渦潮に巻き込まれた兵器は全て舞い上がり、バラバラに崩れ落ちて鉄屑の雨となって地面に降り注ぐ。その光景を見た涙名は何かに気付いたような表情を浮かべる。

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