第619話 永久の闇息

「と言う事はやっぱり、さっきの仮説で正しかったの?」


空弧が星峰に問いかけると星峰は


「ええ、間違いなくこの制御装置が管理しているのはあの転移魔術の印から最も近い場所にある生産ラインよ、そして兵器の種類も先日空弧が交戦した種類と全て一致する。如何やらこのラインは完全に抑えていた様ね」


と告げる。


「そのラインは今も起動しているのか?それとも……それに他のラインは……」


八咫が矢継ぎ早に言葉を発するがそれに対し星峰は


「八咫、気持ちは察するけど少し冷静になって」


と八咫を諭す様な発言をし、それを聴いた八咫は


「あ……そうだな、済まねえ、俺らしくなかったな……」


と星峰に諭された事で言葉を引っ込める。恐らく故郷の近くに転移してきた兵器が生産されている事が理由だろう、それを察したのか、星峰も敢えてそれ以上首を突っ込む事はしなかった。


「で……どうするの?そのラインを破壊する?それともここで制御を奪うだけにする?」


涙名が天之御に問いかけると天之御は


「一度に全てのラインを破壊するのが困難である以上、下手に何処かを破壊すると他の警備がより強固になる可能性がある。そう考えるとここは制御を奪うだけにするのが得策だ」


と返答し涙名もその返答に対し


「同じ事考えてた。ならそうしようか!!」


と強気な声を出す。それを聴いた星峰は


「既にその準備は整えてあるわ、只、恐らくそれでももう一戦は避けられないでしょうね」


と言って機器のスイッチを入れる。


「まだ何か来るんですか?」


豊雲が問いかけると岬は


「まあ、来るでしょうね。そのラインが完全に無人で居るとは考えにくいから……」


と岬が言い終わる前に部屋の扉を開ける音が聞こえ、それと同時に人族、魔神族の混成部隊が入って来る。


「ほら……ね」


その岬の呟きと共に混成部隊の構成員は一斉に一同を攻撃してくる。一同はそれを躱し、直後に天之御が


「魔王妖術……悠久の闇息」


と言って混成部隊の周囲を黒い霧で覆い、その霧の中に捕らわれた構成員は次々と気を失っていってそのまま何処かに転移する。


「やれやれ、天之御が出る程の相手でもないでしょうに」

「僕だってこの位はやるさ。皆の戦いを見ているだけって訳にはいかない」


少し呆れた様な風に天之御に話しかける星峰だが、その言葉とは裏腹にその顔は信頼に満ちていた、それに応えるかのように天之御も笑顔を星峰に向ける。


「この機械は既に私達が遠隔制御出来る様にしておいたわ。今すぐ離脱する?それとももう少し調べる?」


続けて星峰は天之御に問いかける。

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