第618話 夢魔の制御装置

天之御の出した結論に星峰も


「ええ、私もその意見に賛成だわ。恐らくブントは今この施設の生産ラインを抑えてはいる筈……でも兵器の数から考えると全ての生産ラインを抑えている訳ではないと思う」


と同意し、更にデータを解析して予測出来る結論も告げる。


「つまり、幾つかある制御施設の全てを手中に収めている訳じゃないって事ね」

「ええ、そして可能性が最も高い制御システムの場所はここよ」


星峰の予測を聴き、空弧が納得した表情で言葉を続けると星峰は空弧の言葉に続けて

自身の予測を語る。

そして星峰の示した制御システムの場所は一同が居る場所から最も近い場所に存在していた。


「ここって、一番近い制御システムだけど……」


涙名が少し困惑した声を出す、恐らくは空弧がそう考える根拠が読めないのだろう。

そんな涙名とは対照的に天之御は


「成程、さっきの転移魔術が先日の那智街近くに繋がっていた以上、その近くにある制御システムが手中に収められている可能性が高いって訳だね」


と星峰の考える根拠を完全に読み通す。その言葉を受けた星峰は


「ええ、残念ながらこのデータではイェニーが設置したと思われる通路の詳細は分からないから確実にそうとは言い切れない、だけど可能性としては非常に高いと思うわ」


と強気な言葉を続ける、それだけ自信があると言う事なのだろうか


「ならここでじっとしていても仕方ありませんね、急いで星峰の示す場所に向かいましょう!!」


豊雲がそう言うと同時に一同はデータルームを後にし、星峰の差し示した制御システムのある部屋へと脇目も降らずに向かっていく。その途中、またしても何度も兵器の妨害を受けるものの、今の一同にはそれは寧ろ仮説が当たっているのではないかという確証への道標にすらなった。

そして問題の部屋の前に辿り着き、その扉を開ける。するとその奥では星峰の予測通りこれまで戦ってきた兵器ではなく人族が機械を操作していた。


「!!お前達は……」


一つしかない入り口の方に目をやり、中に居た人族は天之御達に気付く。だが其れと時を同じくして一同は一斉に人族に接近し、武術や格闘術で瞬く間に人族を攻撃しその場に蹲らせる。

そしてそのままその身柄を拘束し転移妖術で何処かに移動させた後星峰は


「さて、この制御システムは一体どの兵器の生産プラントを制御しているのかしら?」


と言いながら機器を操作し、その制御先となっているプラントの特定を開始する。

そして数分後


「やっぱり、思った通りだったわね」


と納得の言った声と表情を星峰が浮かべる。

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