第614話 痕跡の罠?

「確かにその様だね、出て来る時は気付かなかったけど出口の印には僕が展開した封鎖妖術の印が重なってる。と言う事はやはり、各地の兵器はこの施設から送り込まれていたんだ」


空弧の発言に続けて天之御もそう告げる。その言葉通り、出口の印には別の印が重なっていた、だがそこで当然


「でも、どうして僕達はこうして外に出てこられたの?」


と涙名が内に抱いた疑問を口に出す。すると印を展開した本人から


「この印は僕が影響を出したくないと思った存在だけは影響を受けずに行き来する事が出来るんだ、例えば今ここに居る面々の様にね」


と非常に分かり易い回答が返って来る。それを聴いた涙名は


「成程ね。便利と言うかなんというか……」


と感心なのか皮肉なのか良く分からない口調で返答する。


「さて、行先と確信を得た訳だし、そろそろ戻らないとね……」


そう告げる天之御の言葉は何処か強気で何処か重みがあった、その言葉に他の面々も黙って続き、一行は来た道を引き返して施設に戻る。

当然出口は先程交戦した場所だが、そこに着くと同時に星峰が


「皆……見て、さっき交戦した兵器が出現した場所の奥……」


と告げて兵器の出現場所奥地に目を向ける様に告げる。

星峰に促されるままに一同が兵器の出現した後の部屋に目をやるとそこには明らかにどこかに続いているであろう通路があった。


「兵器の出現口の奥に通路か……となると、あの通路から兵器が侵攻してきたのは明白だが、重要なのはそこじゃないんだろ」

「ええ、通路から兵器が出てきたという事はつまり、あの通路の奥に何かがあるという事、場合によってはデータルームや生産ラインに繋がるかも知れないわ」


星峰の真意を汲んだのか、八咫が早々に結論を話すと星峰もそれを全面的に同意し、天之御が声をかける間でも無く一同はその通路に向かって足を運んでいく。

通路に入るとそこには兵器の通った後とみられる車輪跡が至る所に残されており、その通路が兵器の行き来する場所であるという星峰の疑念を更に強める、だが一方で何故車輪が残されているのかと言う疑念も抱いていた。

ここまで露骨に車輪が残されているのはこれまで確認出来なかったからだ。


「星峰、これって……」

「ええ、もしかすると……かも知れないわね」


涙名が不安を悟ったのか、星峰も警戒心を抱く、だがその警戒心に反し、出口は見えてきた。それもお目当てのデータルームと言う形で。


「ここは……機械からしてデータルームね。調べてみましょう」


警戒心が稀有である事を証明するという意味も込め、星峰はデータルームの電源を入れる。

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