第615話 隠されし通路 隠されし謎

そして何時もの様に機械を操作し、順々にデータを調べていく。中のデータにも特に奇妙な所は無く、この施設がどういう施設であるのか、どのような目的をもって作られた施設なのかという点が改めて浮き彫りになって来る。


「星峰どう?何か分かった?」


空弧が星峰に問いかけると星峰は


「ええ、やはりこの施設は兵器の生産プラントであり、其れもかなりの規模がそれに割り当てられているわ。ここさえあれば大型小型問わず今まで私達が戦って来たあらゆる兵器が建造できるわね」


と返答する。その返答は一同にとってこの施設が大きな脅威であると言う事を改めて印象付ける。


「だとすると、此処にはそれを証明するデータが続々と存在して居そうだね」

「もう既に確認して居るわ。それもかなりの数のデータをね」


涙名の発言に対し星峰が告げた返答、そしてその直後に星峰が前方のモニターに映し出したデータはそれを一同の予想を上回る形で印象付ける物であった。

映し出されたデータはこれまで一同が交戦してきたあらゆる兵器が網羅されており、星峰の発言と合わせてこの施設の恐ろしさを改めて実感させる。


「これだけの規模がこの施設だけで……一体先史遺産はどれだけの暗部を抱えているというんだ……」


その規模の大きさに八咫は驚きを隠せない。他の面々も口にこそ出さないものの同じ気持ちであった。


「ええ、ただ、逆に考えるとここが一番最初に作られ、その後各地に兵器の生産プラントが量産されたと考えられるわ。ただ、其れだと各地の連絡通路は誰が繋いだのかという話になる」

「そうね……先に作られたのなら連絡通路があるのは不自然すぎる、でも後からつけられたとしたのならブントの調査的侵攻が入るのは可笑しいわね」


星峰の呈した新たな疑問に続く空弧、それに対し


「考えられるのはブントが派閥争いでもしてお互いの事を把握していないケースだけど……そうだとするとこの通路を設置したのは……」

「あくまで私の仮説ですが、イェニーではないでしょうか?」


星峰が仮説を続けて話すとそれに合わせる形で豊雲が言葉を続ける、その行動に周囲は驚きの表情を浮かべる、豊雲からそうした発言が出て来るとは思いもよらなかったからだ。


「イェニーがこの通路を設置した?その根拠は何なの?」


岬が豊雲にそう問いかけると豊雲は


「東大陸の地下を調査する過程でイェニーの事について知る機会があったのですが、どうやらイェニーはかなり権力に執着して居た様なのです」


と言葉を続ける。

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