第610話 魔窟への突撃

「今更言われるまでもないよ!!さあ、行こう」


天之御がそう言うと同時に転移妖術が発動し、その妖術はその場に居た全員を包み込んで何処かへと移動させる。

その移動先は先日星峰が特定した兵器えお送り込んできたと思われる施設の入り口であった。


「此処が……問題の施設なのね」


空弧が覚悟を決めた声で確認するように言う。それに続ける様に星峰も


「ええ、間違いないわ。この建物の外観はデータに合った物と一致している。ここ数回の兵器は此処から出撃、襲撃してきたのよ」


と言葉を続け、一同の間に緊張が高まる。

だがその緊張が破られたのは直ぐであった、施設の入り口から兵器が出現し一同を攻撃してきたのだ。


「ちっ、もう感付かれたって訳か!!流石に警備が厳しいみたいだな」


次々と乱射される機関銃を避けつつ、八咫がそう呟くと空弧は


「感心してる場合じゃないわよ、早く迎撃しないと!!」


と八咫に発破をかける様に発言するがその言葉を待つまでもなく、既に八咫は反撃体制に入っていた。そして


「言われなくてもそのつもりだ、黒羽の五月雨!!」


を使用し兵器に黒羽のあめを降り注がせてその機能を停止させる。

そうして兵器のある意味で熱烈な歓迎は退けられたものの、既に自分達が行動している事を把握されたという為、天之御達にのんびりしている余裕はなかった。


「ここに来ただけで既に迎撃の兵器が出現するとは……これは急がないと何が起こるか分かりませんね」


豊雲の言葉を受け、一行は駆け足で施設の入り口へと向かいその中に突入する。


「入り口までは何とか無事に……という訳には行かないみたいだね」


涙名がそう呟くと同時に一同の背後に多数の兵器が出現する。どうやらここまでの道中に配備されていた兵器が追跡して来た様だ。


「ここまでの道中で既にこれだけの兵器が……やはりここには製造プラントがあると考えるべきね」

「ああ、そうでなければこれだけの大規模な兵器部隊を編成するだけの戦力は用意出来ないからね、でも!!」


星峰と天之御がそう言うのと同時に兵器はビーム砲を構えようとする、だがその隙を突いて岬が兵器に接近し足払いでドミノ倒しの様に兵器を薙ぎ倒す。


「やはり機械だけあって状況判断能力は鈍い様ね、機転を働かせると言う事は無いわ」


岬がそう呟くと空弧は


「ええ、この状況で隙の大きな攻撃をするのは生命では考えられない。だけど今の兵器が囮の可能性もある以上、油断は出来ないと思うわ」


と告げ、一同はその言葉を受けて気を引き締める。

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