第581話 嘲笑う悪意
「どこに侵攻してくるか分からない兵器……確かにこの上ない脅威ですね……まだ現状ではそれを自由自在に出来るという訳では無い様ですが、万が一それまで可能になってしまったとしたら」
「ええ、あらゆる場所に自由自在に侵攻する事も出来る様になる、この上なく恐ろしい話だわ、そして、そのような技術が既にこの世界に存在していたと言う事も」
岬の言葉に続けて星峰も言葉を続ける、だが星峰の言葉は岬の言葉とは少しニュアンスが違って聞こえた、否、実際違っていたのだろう、星峰はその技術が存在している事その物に危機感を覚えている様だ。
「既に事は那智街の中だけで済む話じゃねえな、早く手を打たねえとどこが戦場になるか分かったもんじゃねえ」
今回の一件を得て八咫も危機感を募らせる。
やはり自身の故郷が関わっているとなると穏やかではいられないのだろう、
「その通りだね。
だからこそ早急に手を打つ必要がある、只、それに備える為にも今日は皆休息を取ってほしい」
天之御がそう言うと一同はそれぞれ自室に戻りはする、だがそう告げた天之御自身も含め、何れのメンバーも今日の事を思い起こしたりデータを整理したりしてその後を過ごしており、天之御の言う休息を取ったのは誰も居なかった。
とはいえ流石にそのままで過ごしきる事が出来る訳はなく、暫くすると全員が休息を取る為に当然ながら床に就く。
だが翌日早朝、そんな一同を嘲笑うかの様に警報が鳴り響く。
「こんな朝から警報!?まさか……」
警報で目覚めた星峰が急いで謁見の間に向かうとそこにはほぼ同じタイミングで他の面々も集まってくる、
部屋の中には一人天之御が居て警報の理由を目の当たりにしていた。
「この警報は一体何なんです!?」
空弧が天之御に訪ねると天之御は
「此方の行動が後手に回ってしまったようだよ。又兵器が侵攻してきた」
と告げる。
「ちっ、早速してきたって訳か!!で、場所は何処なんです?」
八咫が苛立ち交じりの声で問いかけると天之御は
「今回の出現場所は北のロップス山脈、侵攻先は今の所特定は出来ないけど、進行方向にある街から判断すると少なくともモスシアタウンが含まれている可能性が高い」
と告げる、するとその言葉を聞いた瞬間、星峰と涙名の顔色が明らかに変化する。
「星峰、涙名、どうかしたの!?」
その顔の変化に気付いた空弧が二人に問いかけると涙名は
「ねえ、星峰……モスシアタウンと言えば確か……」
と星峰に話しかけ、星峰はそれに対し
「ええ、シレットの故郷よ……」
と返答する。
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