第562話 信じがたい共闘

その後も人族、魔神族の攻勢は続き、兵器は瞬く間にその数を減らしていく。そして遂に出現元と思われる湖まで追い込み、それからものの数分でその反応を完全に消滅させる。


「兵器の反応が完全に消滅しましたね……さっきの火口と同じパターンならこれも兵器が出現していた転移通路を封じ込めた形で封鎖したんでしょう」

「ええ、でも問題は此処からよ……」


シレットが現場で起こったであろう事象を推測するとコンスタリオはそれについては肯定する。だがその直後の発言からは不安が感じられる。

その直後に人族と魔神族がどう動くか、それによって今後の自分達の戦いも大きく動く、そう思わずにはいられなかったからだ。


「さあ……どう出るの?」


コンスタリオは固唾を飲んで画面に映る人族と魔神族の反応を見守る。そしてその結果は……特に何か争うでもなく、魔神族の反応がその場から消えて収束する。


「魔神族の反応が消えた……やっぱり此方と交戦する意思は無いというの……」


同じ様な事象に立て続けに遭遇し、俄かには信じがたいといった声で画面を見つめるコンスタリオ、だが内一回に自身が遭遇している以上、あり得ないと切って捨てる事も出来ない。

これまで自分が信じてきた考えとの間で確実にその苦悩は募りつつあった。


「一体……どうなっているの?あの兵器が人族、魔神族共通の敵であると言う事は分かったけどそれに対して両者が共闘する、其れも立て続けに起こるなんて……」


信じがたい事象に立て続けに遭遇し、シレットもまた苦悩している様子をみせる、そして其れは言葉にこそ出していないものの、モイスも同様であった。

その直後、司令官から通信が入り


「現地部隊より入電が入りました、兵器の迎撃に成功した為、もう待機する必要は無いと言う事です。

基地内部への帰還をお願いします」


と言う伝達を受ける。それを聞いたコンスタリオは


「了解したわ、直ぐにそちらに戻ります」


と返答しシレット、モイスと共に司令室へと戻る。だが今のやり取りについてシレットとモイスはある違和感を感じていた。


「皆さんに待機してもらっていましたが、何事もなく迎撃されたようで何よりです。何しろ皆さんは先程も出撃されましたからね、連戦による疲労でもしもの事があればキャベルの皆様への顔向けも出来ません」


コンスタリオ小隊が部屋に戻って来ると司令はこう告げる。だがその会話は何処か調子の良い事を述べているだけの様にも聞こえる、そう思わずにはコンスタリオはいられなかった。

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