コンスタリオ達はほぼ蜻蛉帰りに近い形で飛空艇に乗り込み、拠点本部へと戻る。そして戻るとシレットが言った通り、司令室に向かって今回の一件のあらましを報告する。

「オアシスから出現した部隊の迎撃には成功したものの、此方とは別方向に侵攻した兵器は既に破壊された後だった……そういう事ですね」

司令官が確認する様にコンスタリオに問いかける。

「ええ、ですがその確認を取ると言う事はつまり……」

「はい、人族部隊が出現した兵器を迎撃したという情報は入って来ていません。又、オアシス側に気を取られていた為、上空からの戦闘宙域監視も確認出来ませんでした。映像も画像も残っていません」

司令の発言の仕方に何かを察した様な反応を見せるコンスタリオ、そしてその反応通り、司令も今回の一件についての詳細は把握していなかった。

「兵器の侵攻先で何があったのか……今回の兵器の侵攻先にあったタウンは何れも人族側、魔神族が兵器を迎撃したとは考えにくいわね」

司令室に居合わせたアンナースがそう告げると

「ええ、態々敵に塩を送る様な事をしてくれるでしょうか。勿論偶々遭遇しただけと言う可能性も考えられなくはないですが」

とシレットもアンナースの意見に同意する。だがその会話を聞いてモイスは

「それにしても……どうして兵器がああも人族側の勢力ばかりに侵攻したんだ？魔神族側のタウンだって存在していたのに……」

と、今回の兵器が全て人族側に侵攻してきた事に疑念を抱いていた。

「兎に角この件については追って調査する必要がありそうですね。私達も可能な限りの情報収集は行います」

「お願いします。私達の方でも何か掴めたらお伝えします」

司令とコンスタリオは互いに情報を集める事を約束し、そう取り決めた後コンスタリオは司令室を後にする。それを確認するとアンナースは

「よりによってこんな時に……厄介な事にならなければいいけど」

と明らかに焦りを浮かべた顔で愚痴とも不安ともとれる言葉を零す。その表情から彼女も今回の一件については全く見当がついていない様子だ。

「ええ、中核が動かざるを得なくなり、それでいて返り討ちに合うという只でさえ立て込んでいる時期にこれですからね。これはコンスタリオ小隊を取り込む計画を前倒しにした方がいいかもしれませんね」

司令官がそう告げるとアンナースは

「……そうね。場合によってはその展開も想定しなければならないわね」

と返答するものの、その内心では

「或いはそれをさせる為に中核が何かしたの？」

と少々ではある物の中核への疑念が芽生えていた。

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