第514話 その想定は外の外
靄に一瞬の動揺を見せたものの、コンスタリオと指揮官の発破によって駐在部隊は兵器に対して攻撃を続ける。
「相変わらず気味が悪い靄ね……こんな物に世界を覆わせる訳には行かない!!」
コンスタリオはそういうと兵器に接近し、格闘術で兵器を破壊していく。兵器が消滅すると靄は消滅していき、周囲は少しずつ光を取り戻していく。
「くっ、なんて靄の濃度……今までの靄より明らかに強いわ……」
周囲を覆う靄の濃度にシレットも困惑を隠せない。それでも攻撃は続けていき、何とか兵器を押し返し、最後に残っていた兵器も飛空艇の自動操縦による砲撃で一掃され、オアシスの占領は何とか阻止する事に成功する。
「これでオアシスの部隊は片付いたの……」
「いえ、まだよ!!別方向に侵攻した兵器を追撃する必要があるわ。駐在部隊は此処に待機して万が一増援が出てきた場合は迎撃して!!」
シレットが少々の安心を口にするがコンスタリオはその安心を否定し、指揮官にそう言い渡すとすぐさま飛空艇を地上に降ろして乗り込む。
「そうでしたね……ですが他の方向に侵攻したと言われる兵器は一体何処に……」
他の方向に侵攻した兵器の事を失念していたのを恥じているのか、シレットの発言には少々の恥じらいが感じられる。だがそれ以上に重要なのは兵器を見つけ出し、侵攻を阻止する事であると言う事も承知していた。故にコンスタリオはその件について特に何も言わず、飛空艇のレーダーを最大で作動させ、兵器の熱源反応を探る。するとオアシスから少し距離がある場所で多数の熱源反応をキャッチすることに成功する。
「多数の熱源反応!?これだけあると言う事は……急ぐわよ!!」
コンスタリオの発言にモイスとシレットも気を引き締める。だがその熱源反応現地で一同が見た物は全く想定していなかった光景であった。進行していたと思われる兵器は既に全て何者かによって破壊され、反応を発していたのはその残骸であったからだ。
「これは……既に誰かが迎撃したって事なの……でも一体誰が……」
「他のタウンの部隊に迎撃の協力を要請したっていう話は聞いていないわ。勿論部隊が独自の判断で動いたって可能性も考えられなくはないけど……」
だが現場の状況から見てコンスタリオにはそうは思えなかった。兵器は見事なまでに破壊され、少なくとも兵器との戦闘経験が無ければここまでの事は出来ないと思えたからだ。
「とりあえず、この事を伝える為にも戻った方が良さそうですね。もしかしたら司令官が何か伝えてくれるかもしれませんし」
シレットの言葉に異論を挟む余地はなかった。
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