第513話 地上を汚す靄

その雷が地面に落ちると地面には亀裂が入り、その亀裂に兵器は呑み込まれていく。


「数で上回られているとはいえ、侵攻が直線的であるなら戦い様はある!!」


コンスタリオがそう叫んだと同時に飛空艇の自動操縦による砲撃も入り、一時的ではあるものの兵器の侵攻を食い止め、数を減らす事に成功する。


「よし、このまま……」


その勢いのまま兵器に接近しようとするシレットだがその時、今の攻撃で破壊されなかった兵器から黒い靄が出現し始める。それを見て


「あの靄……確か!!」


と言い、シレットは兵器に近づきつつあった足を止める。それにコンスタリオも


「ええ、気を付けて」


とその場に居る全員に警戒を呼び掛ける。


「何が起ころうとしているんです!?あの靄は一体……」


以前遭遇しているコンスタリオ小隊と違い、これが初見となる駐在部隊は当然の様に出現した靄に動揺を見せる。更に


「許さない……奴等、絶対に……」


と言う言葉まで聞こえてきた為に部隊全体に動揺が生じてしまう。その隙を突かれたのか、直後に再開した兵器の攻撃を回避出来ず、駐在部隊は負傷者を増やしてしまう。


「つっ!!しまった……駐在部隊は一旦下がって下さい!!」


動揺した兵士では対応出来ないと思ったのか、コンスタリオは駐在部隊に後方に下がる様に告げる。だがそれも聞こえていないのか兵士の動揺は消えない。尚も兵器は攻撃を続けてくるがその光景に対しモイスが銃を構え、得意の早撃ちで兵器の動力源を撃ち抜いていく。


「あんたら、何時までそうしてるつもりなんだよ!!}


銃声とモイスの一喝により意識が目の前に戻されたのか、兵士の動揺は収まり、兵器が呟き続ける


「許さない……殲滅する」


と言った言葉にも動揺を見せなくなる。それと同時に兵器への反撃を開始しシレットの一撃で数を減らしていた事もあって徐々に兵器をオアシスの方へと押し返していく。


「兵器がいきなり言語を……一体どうなっているんですか?」


指揮官がコンスタリオに尋ねるがその返答は


「私達にも詳しい事は分からない。ただ、あの兵器に怨念の様な物が宿っていて、それが何らかの悪意をばら撒いている可能性が一番高いの。

私達は前にも交戦したことがあるわ」


と現状で起きている事を開設するだけの不十分な物であった。だがそれでも危機感は十分感じられたのか指揮官は


「りょ、了解。なんとしても殲滅します」


と言い、部隊の兵士に目の前の兵器を殲滅させる事の重要性を改めて告げる。

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