第502話 疑念の行き着く先は

「もしかしたら……なのだけど、もしかしたらこの魔神族と松波街の部隊は共闘したのかもしれない」


低く自信が無い声ではあるが、コンスタリオは自身の考えをそう告げる。それを聞いたシレットとモイスは顔を歪め、明らかに困惑した様子を見せる。だが其れでコンスタリオを追及はしなかった。他に思い浮かぶケースが全く存在しなかったからだ。


「この状況においてはあり得ない話ではないのかもしれませんね……」


シレットはそう言ってコンスタリオの仮説を肯定する。それ以外に出来る反応がない。モイスも同じ意見らしく、彼女に反論はしない。

そのままコンスタリオは画像を更に調べていく。するとスターの体を使っている魔神族、つまり空弧が写っている画像は一枚だけではなく、幾つも確認出来た。それが又、松波街の部隊と空弧が共闘したというコンスタリオの仮説に信憑性を与え、三人を困惑させていく。


「何なんでしょうこれ……そもそもこの画像はどこで撮影された物なんです?」

「今回の一件で松波街の防衛部隊が記録した画像よ。悪い事だとは思うけどこっそり確認させてもらったの。で、その結果としてこんな混乱する画像が出てきている。この混乱は天誅なのかしらね……」


シレットの質問に対し、コンスタリオはやや自嘲気味に答える。そんなコンスタリオに対し、シレットとモイスはかける言葉が見つからない。同じ様に自分達も困惑しているからだ。


「やっぱり、今回の一件は不自然な点が多すぎますね。そもそもスターの伝達もどの様な経緯で入手出来たのか、そしてそれに従った結果此れだけ多くの謎が判明した。もしこの謎の先にスターが居るのなら、そこは……」

「そこがどれだけ危険な場所であったとしても私達は立ち止まる訳には行かないわ。進むわよ、先に!!」


少し弱気な声を出すシレットに対し、その声に引き摺られない様にする為とも叱責しているともとれる声を上げるコンスタリオ。だがその声は無理をしている様にも思えてならず、シレットとモイスは只黙っているしかなかった。


その後もコンスタリオ達は今回の一件について調べ続けるものの、此れと言って新しい発見をする事は出来ず情報収集は暗礁に乗り上げる。

一方、そのスターの体を使っている空弧は星峰を前に唖然とした表情を浮かべていた。


「ええっ!?彼等が松波街の画像を調べる!?」

「ええ、此れだけ疑念だらけの作戦を遂行した後、彼等が黙っているとは思えないもの。そしてそれは更にブントに近づく事になる」


何と星峰はコンスタリオ達がこの行動に出る事も予測していたというのだ。

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