第498話 心は、気持ちは一つ

「協力してくれた松波街の面々にも感謝をしなければならないね。今回の作戦は彼らの協力もあってこその成功なのだから」


天之御がそう告げるとそれに続けて


「ええ、彼等は私達の作戦を聞き、自ら協力を申し出てくれた。結構な戦力を投入してくれたこともあってブントの部隊を殆ど損害無く退ける事が出来たわ」


と空弧も続ける。さがその顔は戦況報告とは思えない程何処か嬉しさが感じられた。それに違和感を抱いたのか


「空弧……何だか妙に楽しそうね」


と星峰が突っ込む。戦況報告には似つかわしくない顔であると思ったのだろうか。

そんな星峰の突込みに対し空弧は


「あら……不謹慎な気もするけど顔に出ちゃったわけね。確かに嬉しくはあるわ、だって、人族と肩を並べる事が出来たんだから。何時かこれが広まればいいなって」


と返答する。その返答に納得がいったのか星峰も笑顔を浮かべ


「そうね、人族と魔神族が肩を並べる。もし戦争が始まる前はそうしていたのだとしたらもう一度この世界でそれを行う事も不可能ではない筈ね」


とその発言に同意する。否、寧ろ星峰の方が空弧以上に笑顔を見せている様にも見える。


「その日を迎える為にもブントに対する対処をしなければなりませんね。そして……場合によってはその背後に居る存在も」


豊雲が何かを見据える様な目でそう発言する。すると再びその場に居た面々の顔が真剣なものに変わる。


「そうだね。人族側の協力者も少しずつ増えてきてはいてくれる。彼等もブントに対しては許せない思いを抱いている。平穏への思いも抱いている。だからその思いを紡ぐ為にも僕達は先を行かなければならない」

「ええ、実際今回の作戦において人族部隊と共に戦ってみて感じたのですが、ブント側以外の人族部隊の気迫は私達と何ら変わりませんでした。それだけに肩を並べられた事を嬉しく思った部分もあります」


天之御と空弧の発言にその場に居た面々は顔を見合い、その決意を新たにする。

今回の作戦で松波街の部隊が魔神族をほぼ無傷で退ける事が出来たのは空弧の協力があったからでもあった。空弧は密かに松波街の部隊に合流し、共にブント側の魔神族部隊と戦っていたのだ。


「松波街の部隊からも感謝の言葉が届いていたよ。しなきゃいけないのはむしろこっちなのにね」


照れているのか、そうでないのか、ややちゃらけた口調で天之御が話す。だがその顔は直ぐに真剣な物に戻り


「それで、現在ブントの動きはどうなってる?」


と星峰に訪ねる。

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