第490話 奇妙の正体
「一体どういう事だ?これが可笑しいって……」
コンスタリオの真意を計り兼ねているのか、モイスとシレットは首を傾げる。すると
「このタウンは昔、開戦して間もなく魔神族に制圧はされたけど、元々は人族の居住エリアだった。なのに何故、ここで魔神族が用いている兵器が製造されているの?
何故、先史遺産を基にした兵器を製造するエリアをここに建設する必要があったの?」
と問いかける様にコンスタリオは解説する。
「え?それはまあ、元々人族部隊が……一寸待って下さい、其れだと……」
「そう、もし仮にこの施設が元々建造されていたのだとしたらこの施設は人族が建造し、兵器を開戦当初から既に保持していた事になる。一方、後から魔神族によって建設されたのだとしたら何故態々制圧した街に建造したのか、その点が疑問として現れる。
何方の方が可能性が高いかを考慮すると……」
「人族が元々の方が……って事か。だとするとこの兵器に纏わるこれまでの話全ても怪しくなってくるな」
コンスタリオの解説を聞き、モイスとシレットも合点がいったのか頷き、納得した表情を浮かべる。
「続いて、此処が隠されていた理由についてもだけど、あの司令基地は元々は人族が使用していた物を制圧し流用していたもの。そんなところに重要なデータを残すかしら?
もしこのデータが元々あの施設に保管されていたもの、或いはそれをベースにした物だとするなら……」
「こうなってくると、兵器云々以前に先史遺産に対する人族部隊の認識全てが疑わしくなってきますね。それも直接関わっていた者でなければここまでの隠蔽は出来ないでしょうから……」
「アンナースを始めとする面々に疑念を向けざるを得ないって訳か……当然、杞憂であってほしいがな」
この施設を見た事でコンスタリオ小隊に生じた疑念、それは決して無視出来る物、流せる物ではなかった。
するとコンスタリオは直ぐ傍に合った機械を起動する。どうやら兵器のデータを記録している保存装置の様だ。それを見てコンスタリオは当然の様にデータを調べ始める。それから程無くして
「やっぱり、ここでは兵器を製造しているみたいね。それも小型、大型問わず色々と。その兵器がどこに向かっているのか、それについては記載されていないけど、これだけの兵器を人目につかずに移動させるとなると……」
「地下でも通っているか、或いは転移術で移動させているか……何れにしても現状でこれ以上深入りするのは危険そうですね」
コンスタリオの解析に珍しく冷静な意見を重ねるシレット。やはり先程の一件から彼女も警戒心を抱いているのだろう。
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