第489話 見えない地図の上へ

コンスタリオ小隊が辿り着いた現地は大きな建物が存在しており、その存在はコンスタリオの疑念を確証へと近付けるのに十分すぎる要因であった。


「これは……コンスタリオ隊長の考えが正解かもしれないという可能性が高まりましたね」


建物を前にしてシレットは堂々とそう発言する。だがシレットがそこまで堂々とできるのも最もであった。建物は地図に記載されていないのが不自然すぎる程大きな物であり、少なくとも只の住居ではない、何らかの施設であるのは明白だったからだ。


「こんな施設が地図に記載されていないって事は、何か隠したい物があるってのが定石だろうな」


モイスも同様の発言を続け、コンスタリオ小隊は施設の中に突入していく。その中も又機械で満ちており、そこが何らかの施設である事は確定したものの、何の施設課まではまだ特定出来ない。だがそこに漂う空気は単なる娯楽や商業施設では感じられないものであった。


「重く苦しい空気ね……良い予感はしないわ」


コンスタリオがそう呟いたのはその後の展開を予見していたからなのだろうか?それに呼応するかのように突然銃撃が行われる。早打ちを得意とするモイスがそれに気付き、その方向に反撃の銃口を向けて撃つとその先には銃撃を仕掛けてきたと思われる兵器がモイスの放った弾丸で崩れ落ちる。


「兵器……と言う事は此処には独自の防衛戦力が配備されているって事ね。此れは益々キナ臭くなってきたわ」


コンスタリオがそういうとモイスとシレットも頷き、三人は警戒心を強めて建物の奥へと進んでいく。その最中、幾度となく兵器と交戦するが、その度に三人は確証と警戒心を強めていく。そしてそれを繰り返す内に三人はある扉の前に辿り着く。


「ここには一体何があるんでしょうか?防衛兵器がここに来るまでに多数出てきたという事は何か重要な物がある、そんな気がしてならないんです」

「それがあろうとなかろうとここまで来て引き返す訳には行かないわ。調べましょう」


シレットの疑問に対し、コンスタリオは前に進むしかないという事を告げ、その扉を開ける。そしてその先で三人が見た物はベルトコンベアに部品が流れ、その部品が組みあがって兵器が製造されていく光景であった。


「!?これって……独自の戦力が配備されているはずですね。製造元であったんですから」


その光景を見て納得したという風の表情を浮かべるシレット、だがコンスタリオは


「……いえ、可笑しいわ」


とシレットの表情に水を差す様な発言をする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る