第488話 隠された地図
「ええ、だけど全て同じと言う訳でも無いわ」
画面に表示されたデータを見ているコンスタリオのその一言にモイスとシレットは
「えっ!?」
と言痛げな表情を浮かべる。その言葉に続けてコンスタリオは
「スターが送って来てくれたデータに表記されている地図とこのデータ上の地図、見た所は同じだけど微妙な差異があるわ」
と続け、それを証明する為に二つの地図データを重ね合わせる。するとコンスタリオの言う通り、二つのデータには微妙な差異があり、スターが送って来たデータには表記されているデータには記載されている一部の建物が表記されていなかった。
「どういう事なんだこれは?スターが持ち出せたデータが古いデータだとしても、そんなデータを態々残しているって事は……」
「このデータは流通用、ここにあるデータはシークレット用なのかもしれないわね」
「つまり、この表記されていない部分に魔神族が隠したい物があるという事ですか?」
その事実を確認し、各々が思い思いに自分の考えを口に出す。それを見たコンスタリオ達の内心は決まっていた。態々口に出すまでもない程に。
その答えを証明するかのようにコンスタリオは通信機を取り出し
「侵攻部隊の皆さん、現時刻を以って敵司令部を制圧しました。司令部のレーダーにより、残存する魔神族部隊も確認出来ません。
これより私達を含む少数部隊をこの街の調査の為に残し、残る部隊は松波街防衛部隊の支援に向かって下さい!!」
と告げる。それを受けて人族部隊は少数が残った他は松波街部隊の支援に向かう為に遠ざかっていく。
「全員で調査を行わなくていいんですか?」
シレットが疑問を投げかけるとコンスタリオは
「この隠されている場所に何があるか分からない以上、下手に人数を多く残すと却って犠牲が出てしまう可能性もあるわ。それに松波街の方も危険が無い訳じゃない。万が一侵攻を許したりしたら大変な事になる」
と内心の懸念を伝える。だがその内心には更に
「もし……もし仮に魔神族と繋がっている人族がここにいるとしたら、下手をすると隠蔽工作をされる危険性もある……疑う何て私らしくないけどね」
と自嘲気味ではあるものの更なる疑念も芽生えていた。
「さあ、私達も行くわよ。大見得を切った以上、ここでじっとしている訳にはいかないんだから」
その場に居た魔神族を拘束し、コンスタリオは気合を入れる様に大声で言う。その声にモイスとシレットも頷き、三人は最も近い未確認箇所に向かって走っていく。
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