第487話 極める困惑

「くっ、やはりこの手を使ってくるの……」


悪い予感が的中したと思ったのか、コンスタリオは焦燥の顔を見せる。だが映し出されたのは誰もいない倉庫のような場所がただ写っているだけの映像であった。


「え……何なの此れ?」


余りに予想外な映像の為か、呆気に取られた声と顔のシレット、其れを見て司令室内の魔神族も


「な、何っ!?馬鹿な……どうして誰もいない……」


と明らかに動揺した声を出す。当然その隙をコンスタリオ達が見逃す筈も無く先陣を切ったコンスタリオは魔神族に接近し瞬く間に格闘術でその場に居た魔神族を蹴散らす。


「ちっ、こうなれば……」


魔神族も抵抗しようとしてくるがそれを上回るスピードでコンスタリオは格闘術を叩き込んでいく。


「流れは此方に傾いてる。今の私達を止められると思わないで!!」


コンスタリオがそう告げるまでもなく、既に魔神族は全員その場に倒れ込んでいた。


「魔神族の全滅と司令室の制圧に成功と。しかし……あのモニターに映し出されてた部屋に居たと思われる生命は何処に行ったんだ?」

「今の様子から考えるとあらかじめ一ヶ所にまとめていたようだったけど……生命が自力で全員脱出するなんてあり得るのかしら?」


魔神族の全滅には成功したものの、先程の不可解な映像から安心感よりも寧ろ警戒心を抱くコンスタリオ小隊、その発言について


「もし他の部隊の兵士が救出したのだとしたらその事を俺達に通信で報告してくるだろうし、やっぱりどこかおかしいと考えた方がいいんじゃねえか?俺でもその位は分かるぜ」


とモイスがやや自虐的に話す。それを聞いてコンスタリオは


「……そうね。このタウンには何かある。そもそもスターがもたらしてくれた情報は

このタウンに何か魔神族にとって見られたくない、知られたくない物が存在しているという事から始まっているんだもの。それに従うなら……」


とモイスの自虐はスルーするものの、意見の部分については賛同する姿勢を見せる。


「なら、その答えを調べる為にも早速調査してみましょう」


シレットがそういうとコンスタリオは早速目の前の端末を調べ始め、そこに記録されているデータを抜き取る作業を試みる。しかし、そこに記載されている情報は大半が既にスター経由で得ている物と同じであった。だがそれが逆にコンスタリオ正体の疑念を深めていく。


「おいおい……スターが送ってきた情報と殆ど同じかよ……こんな事、あり得んのか……」


其れを見たモイスが唖然とするとシレットも


「そうね……幾等なんでも此れは……」


と困惑を隠しきれない。

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